《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサの葛藤を他所に、スズランが唐突に手を握ってきた。まさか、本当に互いが同じ想いなのだろうか。
「……ライアの手、とってもあったかくて……なんだか、、ほっと、する…の……」
「っ…スズラン…?」
名を呼んだ時には、既にスズランは静かに寝息を立てていた。
「なんだよ、この状況で寝たのか? まあ、よっぽど疲れてたんだな…」
ラインアーサは安堵したが、少々複雑な気持ちだ。まだ身体の芯が熱い。
「……嫌うわけがない…。俺の方が嫌われやしないかって尻込みしてるってのに」
僅かに幼さが残る頬の曲線。透き通る程白い肌に紅い花びらの様な唇。聞こえてくる規則正しい寝息。伏せられた長い睫毛の淵に薄っすらと滲む涙にどきりとした。
そしてその瞼に優しく唇を落とす。
「…ぅ、ん……」
「涙が止まるおまじない、か」
ラインアーサはそのままスズランのあどけない寝顔を眺めながら、一睡もできずに朝を迎えた。
早朝。まだスズランが起き出す前にベッドを抜け出すと、朝の冷たい空気が寝不足気味の脳を刺激する。ラインアーサはもう一度湯を浴び思考を切り替えた。
「眠気覚ましに何か飲もう…」
「……ライアの手、とってもあったかくて……なんだか、、ほっと、する…の……」
「っ…スズラン…?」
名を呼んだ時には、既にスズランは静かに寝息を立てていた。
「なんだよ、この状況で寝たのか? まあ、よっぽど疲れてたんだな…」
ラインアーサは安堵したが、少々複雑な気持ちだ。まだ身体の芯が熱い。
「……嫌うわけがない…。俺の方が嫌われやしないかって尻込みしてるってのに」
僅かに幼さが残る頬の曲線。透き通る程白い肌に紅い花びらの様な唇。聞こえてくる規則正しい寝息。伏せられた長い睫毛の淵に薄っすらと滲む涙にどきりとした。
そしてその瞼に優しく唇を落とす。
「…ぅ、ん……」
「涙が止まるおまじない、か」
ラインアーサはそのままスズランのあどけない寝顔を眺めながら、一睡もできずに朝を迎えた。
早朝。まだスズランが起き出す前にベッドを抜け出すと、朝の冷たい空気が寝不足気味の脳を刺激する。ラインアーサはもう一度湯を浴び思考を切り替えた。
「眠気覚ましに何か飲もう…」