《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
そろりと窓の外に目を向けるも、その景色は深い霧に包まれていて何も見えなかった。誰がどう見ても天気は明らかに良くない。
「…!」
(うわぁ…もう、何言ってんだ? 俺は…!)
「……あのっ、お茶ご馳走さまでした。甘くて美味しかった」
「あ、ああ」
スズランから空のカップを受け取ろうとした瞬間、互いの指先同士がほんの少し触れ合う。
「ぁっ…!」
「…っ」
その触れた指先から全身が痺れる様な感覚を覚え、カップが指から滑り落ちた。受け取り損ねたカップがベッドの上に転がる。
「きゃ…っ!?」
気がつくとラインアーサは、スズランをベッドの上で押し倒していた。
「なあ、スズラン…」
「なに…?」
押し倒されたというのにスズランはラインアーサの瞳を真っ直ぐに見つめ返して不思議そうな表情をしていた。
「スズランは俺の事……嫌いじゃあ、ないのか?」
気が高揚して口走った先から後悔した。口の中が乾き切って喉が張り付く。それでも答えが知りたい。一瞬、スズランが困った顔をしたので心臓がぎゅっと痛くなる。
「ライアこそ。わたしのこと、嫌いじゃないの?」
今にも泣きそうな表情で同じ質問を返された。
「…!」
(うわぁ…もう、何言ってんだ? 俺は…!)
「……あのっ、お茶ご馳走さまでした。甘くて美味しかった」
「あ、ああ」
スズランから空のカップを受け取ろうとした瞬間、互いの指先同士がほんの少し触れ合う。
「ぁっ…!」
「…っ」
その触れた指先から全身が痺れる様な感覚を覚え、カップが指から滑り落ちた。受け取り損ねたカップがベッドの上に転がる。
「きゃ…っ!?」
気がつくとラインアーサは、スズランをベッドの上で押し倒していた。
「なあ、スズラン…」
「なに…?」
押し倒されたというのにスズランはラインアーサの瞳を真っ直ぐに見つめ返して不思議そうな表情をしていた。
「スズランは俺の事……嫌いじゃあ、ないのか?」
気が高揚して口走った先から後悔した。口の中が乾き切って喉が張り付く。それでも答えが知りたい。一瞬、スズランが困った顔をしたので心臓がぎゅっと痛くなる。
「ライアこそ。わたしのこと、嫌いじゃないの?」
今にも泣きそうな表情で同じ質問を返された。