《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ちがうの…、ライア! あのね、わたし本当はあなたに伝えたい事があって来たの! わたし、わたしっ! ……あなたの事が、す…っん!」

 思わずその言葉を唇で塞いだ。

「っ…ふぅ…! ……んっ…」

 流石にスズランが何を伝えたいのかが解ってしまった。しかし、いざ。それにどう応えていいかが解らなかった。
 今までずっと身を偽り、スズランを騙してきた。ここで突然身分を明かしたらスズランはどう思うだろうか。
 ───きっと幻滅するだろう。警備員に成りすましていた事も伝える勇気がなかった。
 そっと唇を離す。

「…っスズラン……」

「ライアっ…わたし…っむぅ!」

 だがもう一度言葉を遮る。互いの指を絡めて手を握り、持てる全ての想いを口づけに込めて……。

 スズラン。
 愛しいスズラン。

 君が愛しい。

「っん…、、…っ…ふぁ……」

 最後に優しく触れるだけの口づけをし、静かに唇を離した。

「っ…スズラン……」

「…っ…ふえぇ、、なんで? ずるいよ。言っちゃ…っ…ダメなの? わたし……気持ち、伝えちゃダメなの? っライアのばかぁ…!」

 今度はラインアーサが首を横に振った。
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