《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
掠れて震えそうになる声をなんとか絞り出す。
「悪い……少し。もう少しだけ待って……それは俺から、言わせてほしい…。俺の事、信じて欲しいから」
「…っ!! ……うん…!」
零れる涙をそっと拭い、スズランの華奢な身体をきつく抱きしめた。それに応える様にスズランの細い腕がラインアーサの背中にまわされる。
隠しきれない二人の想いは互いに伝わったのだろうか。二人はほんの少しの間、そうして抱き合っていた。
───宿の外は白藤色の朝もやで視界が悪く、まだ空気もひんやりと冷たい。
ラインアーサはしっかりとスズランの手を握った。
「スズラン……絶対に俺の手を離すなよ。旧市街を抜けても、酒場に着くまでは絶対にだ……何があっても俺が必ずスズランを守るから…!」
「っ…うん。離さない」
頬を赤く染めながらも向けられる凜とした眼差しに強い意思が感じ取れる。美しく淡い虹色の瞳に自身が映し出されると途端に気恥ずかしくなった。
「ん、いい子だ」
誤魔化す様に頭を軽く撫でると子供扱いされたと思ったのか、少し頬を膨らまるスズラン。それがどうにも愛らしく口元が緩みそうになる。
「むぅう…!」
「悪い……少し。もう少しだけ待って……それは俺から、言わせてほしい…。俺の事、信じて欲しいから」
「…っ!! ……うん…!」
零れる涙をそっと拭い、スズランの華奢な身体をきつく抱きしめた。それに応える様にスズランの細い腕がラインアーサの背中にまわされる。
隠しきれない二人の想いは互いに伝わったのだろうか。二人はほんの少しの間、そうして抱き合っていた。
───宿の外は白藤色の朝もやで視界が悪く、まだ空気もひんやりと冷たい。
ラインアーサはしっかりとスズランの手を握った。
「スズラン……絶対に俺の手を離すなよ。旧市街を抜けても、酒場に着くまでは絶対にだ……何があっても俺が必ずスズランを守るから…!」
「っ…うん。離さない」
頬を赤く染めながらも向けられる凜とした眼差しに強い意思が感じ取れる。美しく淡い虹色の瞳に自身が映し出されると途端に気恥ずかしくなった。
「ん、いい子だ」
誤魔化す様に頭を軽く撫でると子供扱いされたと思ったのか、少し頬を膨らまるスズラン。それがどうにも愛らしく口元が緩みそうになる。
「むぅう…!」