《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
それにはまず自身の本名を名乗り身を明かさなくてはいけない。
「え、王宮…?! どうして?」
「勿論無理にとは言わない…。ただ、心配なんだ。王宮で保護してもらえば安全だから」
この間そうしなかった事を既に後悔していた。
「そんな! 大袈裟だよ。わたしならへいき…」
「駄目なんだ…! もし、スズランが…っ攫われるかと思うと俺は…っ」
スズランの瞳を覗き込むと再び自身が映し出された。赤い傘の下、ゆっくりと二人の影が重なる。スズランが雨に濡れない様に気を使いながらその甘い唇を堪能した。
スズランの甘い香りにくらくらと酔いしれる。
「……ん、、ライア…っ…」
「ッ…」
吐息の合間に名前を呼ばれるとますます愛しくなり、口づけを深くする。もうこれ以上、黙っている事自体が心苦しい。ラインアーサは意を決して自身の真名と身分を明かす事にした。
唇を離し身体を抱きよせたまま小さく呟く。声が擦れてうまく言葉が出てこない。
「……俺…。スズランに話さなくちゃあいけない事があるんだ」
「話さなくちゃ、いけない事…?」
「……その、何から話せば良いかな…。俺、本当は……」
「え、王宮…?! どうして?」
「勿論無理にとは言わない…。ただ、心配なんだ。王宮で保護してもらえば安全だから」
この間そうしなかった事を既に後悔していた。
「そんな! 大袈裟だよ。わたしならへいき…」
「駄目なんだ…! もし、スズランが…っ攫われるかと思うと俺は…っ」
スズランの瞳を覗き込むと再び自身が映し出された。赤い傘の下、ゆっくりと二人の影が重なる。スズランが雨に濡れない様に気を使いながらその甘い唇を堪能した。
スズランの甘い香りにくらくらと酔いしれる。
「……ん、、ライア…っ…」
「ッ…」
吐息の合間に名前を呼ばれるとますます愛しくなり、口づけを深くする。もうこれ以上、黙っている事自体が心苦しい。ラインアーサは意を決して自身の真名と身分を明かす事にした。
唇を離し身体を抱きよせたまま小さく呟く。声が擦れてうまく言葉が出てこない。
「……俺…。スズランに話さなくちゃあいけない事があるんだ」
「話さなくちゃ、いけない事…?」
「……その、何から話せば良いかな…。俺、本当は……」