《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
スズランがそう説明すると漸く腕は引いたが物凄い形相でセィシェルに睨みつけられた。
「くそっ! スズは俺のだ…! あんたには絶っ対渡さない!! っ…戻るぞ、スズ!」
「やっ、やだ、わたしまだライアとお話し…」
「こんな奴と話なんてさせねぇ!!」
セィシェルはラインアーサとスズランの間に割って入ると腕を掴み無理に引く。その反動で傘が吹き飛び二人は冷たい雨に晒された。
「嫌! 離してよ、セィシェル!」
「離すもんか! 俺と親父が昨日からどれだけ心配したと思ってるんだ!! 雨の中一晩中スズの事探して回ったんだぞ? 今だって朝一で警備隊に捜索の届け出をしようとして…」
「ごめんなさい…! でもわたし…」
「でもじゃあねぇだろ!! 心配で心配で、おかしくなりそうだったんだからな!」
「っ…! セィシェル。本当に、ごめんなさい」
「……ならもう行くぞ!」
「…っ」
スズランがこちらに苦しげな表情を見せながらもセィシェルに手を引かれてゆく。しかしラインアーサも今回は引かない。
「……待てよ。セィシェル、先にお前に話しがある」
「何だよ! 俺はあんたと話す事なんかねぇよ!!」
「……そうやって逃げるのならそれでもいい。でもスズランはお前のじゃあない…!」
「あっ…ライア!?」
ラインアーサもスズランの手を引き、強く胸に抱き寄せるとセィシェルに挑戦的な視線を送った。
「くそっ! スズは俺のだ…! あんたには絶っ対渡さない!! っ…戻るぞ、スズ!」
「やっ、やだ、わたしまだライアとお話し…」
「こんな奴と話なんてさせねぇ!!」
セィシェルはラインアーサとスズランの間に割って入ると腕を掴み無理に引く。その反動で傘が吹き飛び二人は冷たい雨に晒された。
「嫌! 離してよ、セィシェル!」
「離すもんか! 俺と親父が昨日からどれだけ心配したと思ってるんだ!! 雨の中一晩中スズの事探して回ったんだぞ? 今だって朝一で警備隊に捜索の届け出をしようとして…」
「ごめんなさい…! でもわたし…」
「でもじゃあねぇだろ!! 心配で心配で、おかしくなりそうだったんだからな!」
「っ…! セィシェル。本当に、ごめんなさい」
「……ならもう行くぞ!」
「…っ」
スズランがこちらに苦しげな表情を見せながらもセィシェルに手を引かれてゆく。しかしラインアーサも今回は引かない。
「……待てよ。セィシェル、先にお前に話しがある」
「何だよ! 俺はあんたと話す事なんかねぇよ!!」
「……そうやって逃げるのならそれでもいい。でもスズランはお前のじゃあない…!」
「あっ…ライア!?」
ラインアーサもスズランの手を引き、強く胸に抱き寄せるとセィシェルに挑戦的な視線を送った。