《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「思ったことを口に出して何が悪いんだよ!!」

「別に悪くないが損するのはお前だ」

「何だよ、うるせえな。説教変態ロリコン王子!!」

「増やすなよ…!」

 ラインアーサが呆れていると部屋の扉が叩かれ、スズランがちらりと顔を覗かせた。

「スズラン!」「スズ!!」

「あ、あの…。お話終わった?」

 スズランが心配そうに様子を伺ってくる。

「待たせてごめんな。だいたいの話はついたよ」

「仕方ないな、あんたの言う通りにするよ…。俺もスズの気持ちを尊重するから」

「な、何のお話?」

「これからは俺もセィシェルも二人仲良くしよう…って話」

 ラインアーサが皮肉を込め冗談めかすと、セィシェルは鼻に皺を寄せて舌を出した。

「っ…本当? わたし、二人が仲良くなってくれたらすごい嬉しい!!」

「……う、スズが嬉しいなら……しょうがねえ」

 渋々そう言うセィシェルに向かってラインアーサも小さく舌を出してみせた。もちろん、調度スズランには見えない角度でだ。

「なっ! おい! 大人気ないぞ!! あんたなんかとっととスズに嫌われればいいんだ!」

「えっ!? 二人とも仲良くするって……ちがうの?」
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