《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「あの娘がどうしてもライアの居場所を知りたいと言うので致し方なく…」
「それにしたって、危ないだろ。そもそも未成年者は外出禁止令が出てる。今回は何もなかったから良かったものの……」
「……そんな風に狼狽えるなんてよほどなのですね」
「何がだよ…?」
「一時期あの酒場に通い詰めたのも、最近ずっと上の空だったのも。あの娘が全ての根源ですか?」
「根源って…。そんな言い方ないだろ」
ハリの棘のある物言いに対し流石にラインアーサも苛立ちを隠せない。
「……すみません、今日も少し頭痛が酷くてつい苛々としてしまいました」
「……」
「まぁ、ライアの女性への手の早さは今に始まった話では無いですし、私は気にしてませんので」
「さっきから何だよその言い方! それにスズランは違う。そんなんじゃあないんだ。昨日だって特に何も、ない…」
「何もない…。そうなんです?」
「ああ。すごく、大切なんだ…」
「……そうですか」
ハリが小さく息を吐く。
その後、しばらくの間沈黙が続くも両者とも黙って歩を進めた。
王宮へ着くなりラインアーサはイリアーナの部屋へと急いで向かった。
「──っ姉上!! 大丈夫か!?」
「それにしたって、危ないだろ。そもそも未成年者は外出禁止令が出てる。今回は何もなかったから良かったものの……」
「……そんな風に狼狽えるなんてよほどなのですね」
「何がだよ…?」
「一時期あの酒場に通い詰めたのも、最近ずっと上の空だったのも。あの娘が全ての根源ですか?」
「根源って…。そんな言い方ないだろ」
ハリの棘のある物言いに対し流石にラインアーサも苛立ちを隠せない。
「……すみません、今日も少し頭痛が酷くてつい苛々としてしまいました」
「……」
「まぁ、ライアの女性への手の早さは今に始まった話では無いですし、私は気にしてませんので」
「さっきから何だよその言い方! それにスズランは違う。そんなんじゃあないんだ。昨日だって特に何も、ない…」
「何もない…。そうなんです?」
「ああ。すごく、大切なんだ…」
「……そうですか」
ハリが小さく息を吐く。
その後、しばらくの間沈黙が続くも両者とも黙って歩を進めた。
王宮へ着くなりラインアーサはイリアーナの部屋へと急いで向かった。
「──っ姉上!! 大丈夫か!?」