《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
扉を叩き中の返事も待たず、すぐに談話室の中へと踏み入る。寝室の扉の前にリーナと王宮専属の薬師が立っているのが目に入った。
「リーナ! エルベルト先生! ……姉上は…っ!?」
「アーサ様、御静かに願います。只今イリア様はおやすみ中でございますよ」
「今朝方、お気分が悪いと朝食時に倒られまして、ここ最近はずっと微熱もおありで……」
続いてリーナが寝室の扉を見つめたまま不安気に答えた。
「今フロラ医師が診ておられます。診察が終え次第説明致しますので落ち着いて、とりあえずお掛けになって下さいませ。アーサ様」
寝室の扉の前でおろおろと落ち着きなく歩き回るラインアーサに椅子を勧める薬師のエルベルト。優しげな目元の年配男性だ。
フロラやエルベルトはラインアーサが幼い頃から専属で王宮に仕えている侍医であり、親しい間柄だ。
「……そう、なのか」
ラインアーサは長椅子に腰掛け、深く息を吐いた。談話室は沈黙に包まれたがそこへ慌ただしく足音を立て、豪快に扉を開け入ってくる人物がいた。
「イリア!! 私のイリアは大丈夫なのかい!?」
「陛下…! お、お静かに。イリア様は只今おやすみになられてます……」
「リーナ! エルベルト先生! ……姉上は…っ!?」
「アーサ様、御静かに願います。只今イリア様はおやすみ中でございますよ」
「今朝方、お気分が悪いと朝食時に倒られまして、ここ最近はずっと微熱もおありで……」
続いてリーナが寝室の扉を見つめたまま不安気に答えた。
「今フロラ医師が診ておられます。診察が終え次第説明致しますので落ち着いて、とりあえずお掛けになって下さいませ。アーサ様」
寝室の扉の前でおろおろと落ち着きなく歩き回るラインアーサに椅子を勧める薬師のエルベルト。優しげな目元の年配男性だ。
フロラやエルベルトはラインアーサが幼い頃から専属で王宮に仕えている侍医であり、親しい間柄だ。
「……そう、なのか」
ラインアーサは長椅子に腰掛け、深く息を吐いた。談話室は沈黙に包まれたがそこへ慌ただしく足音を立て、豪快に扉を開け入ってくる人物がいた。
「イリア!! 私のイリアは大丈夫なのかい!?」
「陛下…! お、お静かに。イリア様は只今おやすみになられてます……」