《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「あ、ああ…。そうだったか。これはすまないことをしたなエルベルト。今、イリアがどんな状況なのか教えておくれ?」

「ええ、もちろんです。どうぞ落ち着いてくださいませ陛下。もう少しでフロラ医師が診察から戻るのでお掛けになってお待ちを…」

「ああ、そうさせてもらうよ」

 先ほどのラインアーサ同様宥められ、椅子を勧められるライオネル。
 同じく長椅子(ソファー)の隣へと腰を下ろすとこちらに視線をよこす。その表情にはやはり疲れが見えた。

「アーサ…! 暫く顔を見なかったが元気だったかい?」

「……父上こそ、働き詰めで無理してない?」

 お互い久々に顔を合わせる所為か、少々気恥ずかしい気がした。

「大丈夫だよ、ありがとう。それよりも今はイリアが心配だ……」

 ラインアーサは息を長く吐きながらリーナに出されたお茶にたっぷりの砂糖を入れてかき回した。

「……俺、姉上に謝らないと…。最近心配ばっかかけてたから…」

「私もだよ…。国王である以前に父親として反省しないといけない事が山盛りだ。イリアにもお前にも苦労ばかりかけさせてしまっているからな」

 この所落ち着いて話も出来なかった為、ここぞとばかりに話を続けるラインアーサ。
< 305 / 529 >

この作品をシェア

pagetop