《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ハリ、助かった! ありがとう」
「気を付けてくださいね、ライア。貴方は見る人が見ればすぐにアーサ王子だと分りますから……イリアーナ様も、人混みの中ではご注意を」
「は、はい!」
小声かつ早口で喋るハリ。その的確な意見にイリアーナも圧倒され気味だ。ラインアーサの軽い変装はあくまでもその場しのぎであり、一度公の場で会った事のある人物に対しての効果は薄い。その分色々と気をつけなければならない。
建物の階段を一気に駆け降りると、目の前に広がる交差点広場の角に一台の大きな馬車が停まっているのが見えた。馬車の傍には見知った人物の姿もある。ラインアーサはその人物に思い切り手を振りながら駆け寄った。
「コルト! 久しぶりだな、来てくれたのか」
ライオネルの側近であるコルト。
幼い頃からライオネルの片腕として大いにその手腕を発揮してきたコルトは、ラインアーサにとっても歳の離れた兄の様な存在だ。
「もちろんですよ。このコルト、連絡を受けて飛んで参りました!! 両殿下、ハリ殿、ご無沙汰しておりました。陛下が王宮でそれはもう、首を長くしてお待ちです。急ぎで参りましょう」
「気を付けてくださいね、ライア。貴方は見る人が見ればすぐにアーサ王子だと分りますから……イリアーナ様も、人混みの中ではご注意を」
「は、はい!」
小声かつ早口で喋るハリ。その的確な意見にイリアーナも圧倒され気味だ。ラインアーサの軽い変装はあくまでもその場しのぎであり、一度公の場で会った事のある人物に対しての効果は薄い。その分色々と気をつけなければならない。
建物の階段を一気に駆け降りると、目の前に広がる交差点広場の角に一台の大きな馬車が停まっているのが見えた。馬車の傍には見知った人物の姿もある。ラインアーサはその人物に思い切り手を振りながら駆け寄った。
「コルト! 久しぶりだな、来てくれたのか」
ライオネルの側近であるコルト。
幼い頃からライオネルの片腕として大いにその手腕を発揮してきたコルトは、ラインアーサにとっても歳の離れた兄の様な存在だ。
「もちろんですよ。このコルト、連絡を受けて飛んで参りました!! 両殿下、ハリ殿、ご無沙汰しておりました。陛下が王宮でそれはもう、首を長くしてお待ちです。急ぎで参りましょう」