《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
 自室に戻り一息つく。
 イリアーナの容体が病では無いとわかり安堵の胸を撫で下ろす。最近悪い出来事が続いていたので、落ち着けば民にも良い知らせが出来る。

「その前にブラッド兄様との成婚発表や、婚儀もあるだろうし…。忙しくなりそうだな。ああ、でも姉上とブラッド兄様の子ならば可愛いだろうな!」

 二人の幸せを切に願っていたラインアーサ。この出来事が自分の事の様に嬉しかった。

「まずは誘拐事件を解決させて早く姉上を安心させないと…!」

 そう意気込んだものの、一旦ベッドに腰を下ろすと途端に眠気に襲われ大きな欠伸が出る。

「……ぁ、ふ…。そういえば俺、寝てないんだった……」

 ラインアーサは睡魔に勝てずそのまま深い眠りに落ちていった。


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 誰かが叫んでる……。

 この声は

 (とう)さま……?

 そんなに慌ててどうしたの?

 (かあ)さまも、そんなにかなしい顔しないで、、

 だいじょうぶだから……。


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「……ん……あれ? ……俺今寝てたのか? …ッ! 痛…!! またか…、最近やけに刺青が痛むな」
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