《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
セイシェルと対等な立場になるとそう公言したばかりだ。力ずくでスズランを自分の方へと向かせても意味はない。
「お願いします…っはなして……わたし、どうしたらいいかわからない…。だってあなたは…」
「っ…分かった、手は離すから、俺の話…。聞いてくれ……ずっと、黙っていてすまなかった。本当はもっと早く言うべきだったんだ。今更謝っても許されないだろうけど……唯、俺はこれからもずっとスズランの事を守りたいんだ! 嫌ってもくれても構わない、俺はお前の事が…」
「っ…!!」
最後まで言い終える前にスズランに手を払われてしまった。
その瞬間、息が止まる。心臓が押し潰される様に痛む。案の定嫌われたのだと、頭では理解出来るのに心が軋んで苦しい。
不意にこちらを見上げたスズランの瞳は涙で光っていた。
「っ…スズラン……」
「わたし、もう戻らないと…っ! 失礼いたします…」
「…っ!!」
そう告げて、スズランは酒場の方へと逃げる様に駆けて行ってしまう。心配で様子を伺う様に後を追った。スズランが無事に部屋へ入ったのを確認すると、安堵と同時に悲愴感がラインアーサを襲う。
「お願いします…っはなして……わたし、どうしたらいいかわからない…。だってあなたは…」
「っ…分かった、手は離すから、俺の話…。聞いてくれ……ずっと、黙っていてすまなかった。本当はもっと早く言うべきだったんだ。今更謝っても許されないだろうけど……唯、俺はこれからもずっとスズランの事を守りたいんだ! 嫌ってもくれても構わない、俺はお前の事が…」
「っ…!!」
最後まで言い終える前にスズランに手を払われてしまった。
その瞬間、息が止まる。心臓が押し潰される様に痛む。案の定嫌われたのだと、頭では理解出来るのに心が軋んで苦しい。
不意にこちらを見上げたスズランの瞳は涙で光っていた。
「っ…スズラン……」
「わたし、もう戻らないと…っ! 失礼いたします…」
「…っ!!」
そう告げて、スズランは酒場の方へと逃げる様に駆けて行ってしまう。心配で様子を伺う様に後を追った。スズランが無事に部屋へ入ったのを確認すると、安堵と同時に悲愴感がラインアーサを襲う。