《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
そんな会話をしながらも二人は街の様子を巡回した。
「───よし。街中見回ったけど、特に異常無し!! ……じゃあ、行くか」
「ああ、そうだな……」
ラインアーサはヴァレンシアから受け取った小さな用紙を懐から取り出し広げる。用紙には事件の犯人とおぼしき輩が隠れ屋にしているであろう建屋が書き示してある。
旧市街の再奥に位置する崖下。そこには取り壊すのさえ忘れ去られた古い廃屋敷がひっそりと立っている。国側で取り壊す予定はある筈なのだが、なかなか手が回らずに現在まで放置してしまった様だ。
「……あの古いお化け屋敷か。昔アーサと俺で、肝試し〜! とか言って勝手に遊びに行ったことあったよな?」
「懐かしいな。俺もその時以来だ……」
「あそこはここからだと結構かかるぞ? それに、本当に俺たち二人だけで大丈夫なのか?」
「あまり大勢で出向くと目立つ。それに他の警邏隊には各地区を巡回してもらわないと…。何があるか分からないからな」
「まあ、そうなだな! でも念のためエミリオの隊にはその周辺とペンディ地区を固めてもらう手筈だ」
「そうしてくれると助かる」
ラインアーサの身を案じ、しっかりと作戦を立てているジュリアン。
「───よし。街中見回ったけど、特に異常無し!! ……じゃあ、行くか」
「ああ、そうだな……」
ラインアーサはヴァレンシアから受け取った小さな用紙を懐から取り出し広げる。用紙には事件の犯人とおぼしき輩が隠れ屋にしているであろう建屋が書き示してある。
旧市街の再奥に位置する崖下。そこには取り壊すのさえ忘れ去られた古い廃屋敷がひっそりと立っている。国側で取り壊す予定はある筈なのだが、なかなか手が回らずに現在まで放置してしまった様だ。
「……あの古いお化け屋敷か。昔アーサと俺で、肝試し〜! とか言って勝手に遊びに行ったことあったよな?」
「懐かしいな。俺もその時以来だ……」
「あそこはここからだと結構かかるぞ? それに、本当に俺たち二人だけで大丈夫なのか?」
「あまり大勢で出向くと目立つ。それに他の警邏隊には各地区を巡回してもらわないと…。何があるか分からないからな」
「まあ、そうなだな! でも念のためエミリオの隊にはその周辺とペンディ地区を固めてもらう手筈だ」
「そうしてくれると助かる」
ラインアーサの身を案じ、しっかりと作戦を立てているジュリアン。