《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「その手柄ってのはまさか…」

「ああそうだ…! あの酒場(バル)の看板娘さ。(ハナ)からあの小娘を連れてけば大正解だったんだ! 誘拐事件だ何だと騒ぎになねぇで一発で任務完了だったのによ…」

「っ…!! 何故あの娘を狙う!?」

「知るかよ! 俺たちはそう指示されてるだけの事…」

 手柄や任務など組織を匂わせる言葉が気にかかる。男の口ぶりからして、やはり今回の事件との関わりがあるようだ。

「……ジュリ!」

「ああ!!」

 ラインアーサの目配せでジュリアンが動く。ジュリアンは兄貴分の男の腕を拘束し、見るも鮮やかに地面へとねじ伏せた。

「っなに、、しやがるっ…!! 離せ、このっ!」

「お前たちはこのまま警備隊のジュリアンが王宮まで連行する! 観念するんだな」

「兄貴ぃ……や、やばいっス〜!!」

「くそっ! 何なんだよ!! 俺たちの邪魔ばかりしやがって…っ離しやがれ!」

「こら暴れるな! 詳しくは王宮で聴いてやる。ほら立て!!」

 ジュリアンは素早く二人組に拘束術をかけると警備隊の規則に従い手際良く行動をとる。

「俺ら捕まっちゃったっスよぉおお! どうするんっスかぁ〜〜兄貴ぃい」

「……黙ってろ、エヴラール…!」
< 324 / 529 >

この作品をシェア

pagetop