《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「わかってる!!」
裂け目の中は酷く心地が悪かった。身体が芯から冷えてゆく様な感覚と、脳内を締め付ける耳鳴りに見舞われる。胃の辺りが圧迫されあまりの不快感に目眩を起こす。
「やだ…! セィシェル、、だめ…! まだライアが!!」
「スズ駄目だ! 裂け目から離れろ…!」
「いやっ…はなして! ライア…っ」
裂け目が更に綴じる。
霞んでゆく視界の中。最後に見えたのはセィシェルの制止を振り切ろうと必死にこちらへと手を伸ばすスズラン。その悲痛な面持ちをどうにか安心させたくてラインアーサは微笑みながら口を開いた。
「……セィシェル、スズランを頼む」
そう言ったか言わないか、裂け目が完全に綴じられ外の光が遮断される。辺りは一面闇と化す。前後左右が認識出来ない空間の中、度々衝撃がラインアーサを襲う。
肌に強い冷気がまとわり付く。
頭痛や目眩、吐き気。止まない耳鳴り。
加えて全身が散り散りにされてゆく様な感覚に嫌な汗が滲む。
「ぁっ…く! ……なん、だよ……これ」
遂には意識を保てなくなり、ラインアーサの記憶はぷつりとそこで途切れた。
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裂け目の中は酷く心地が悪かった。身体が芯から冷えてゆく様な感覚と、脳内を締め付ける耳鳴りに見舞われる。胃の辺りが圧迫されあまりの不快感に目眩を起こす。
「やだ…! セィシェル、、だめ…! まだライアが!!」
「スズ駄目だ! 裂け目から離れろ…!」
「いやっ…はなして! ライア…っ」
裂け目が更に綴じる。
霞んでゆく視界の中。最後に見えたのはセィシェルの制止を振り切ろうと必死にこちらへと手を伸ばすスズラン。その悲痛な面持ちをどうにか安心させたくてラインアーサは微笑みながら口を開いた。
「……セィシェル、スズランを頼む」
そう言ったか言わないか、裂け目が完全に綴じられ外の光が遮断される。辺りは一面闇と化す。前後左右が認識出来ない空間の中、度々衝撃がラインアーサを襲う。
肌に強い冷気がまとわり付く。
頭痛や目眩、吐き気。止まない耳鳴り。
加えて全身が散り散りにされてゆく様な感覚に嫌な汗が滲む。
「ぁっ…く! ……なん、だよ……これ」
遂には意識を保てなくなり、ラインアーサの記憶はぷつりとそこで途切れた。
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