《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
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(──気持ちが悪い……)
(……頭が……ひどく痛む……)
(……熱い……腕が熱い…!!)
意識が混濁する中、ラインアーサは左腕の強い痛みとそれに伴う熱で次第に覚醒へと導かれた。硬く閉じていた睫毛を震わせ、重い瞼を持ち上げるも……。
───闇だ。そこは目を開けているのか閉じているのかもわからない真の暗闇が広がっていた。
自分自身が何者なのか、今何故この場所にこうしているのか。何をすれば良いのか。全てが喪失し、いや……。喪失した事さえも疑問と思わない。頭の中が真っさらで何も考えることが出来ない。
「……、、? …」
しかし左腕、その二の腕に刻まれた刺青が発する熱はラインアーサに痛みを認識させた。
「…っつ、ああ!」
激痛ではないがじわりと痛みや熱を放出する刺青。直接触れて確認したい所だがそれが不可能な事に気がついた。両手首は頑丈な縄で一括りにされ天井の梁から吊るされている様だ。きつく縛られていて緩む隙もない。靴の先が辛うじて床に着く。
「っ…なんで……」
疑問を口にした途端、刺青に鋭く刺す様な痛みが腕に走る。