《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
(っ…! まさかとは思ったが…)
声の調子や話し方で薄々と気がついてはいたが、声の主はやはりあの二人組だ。ジュリアンと拘束した筈の二人組が何故此処に居るのだろうか。
「おい! しかし何だってあの小娘に拘るんだ!? その位、俺たちにも知る権利があるだろう?」
「……オマエ達にはカンケイの無いコトだ。とにかく我々にはアノ娘が必要なんだよ。フリュイの娘がね…」
フリュイの娘……。やはりスズランの事だろう。
「では早速……。アーサ王子を人質にたててアノ娘を差し出す様に手筈を整えろ。利用出来るモノは利用しないとナ。頼んだぞ、ジェルマーノ」
「……畏まりました」
「さて。それまでアーサにはボクのオモチャにナッテもらうよ」
男は何処か嬉しそうにそう言うなり、こちらへと向かってくる。
「……」
「さあ、ドウ遊んでヤロウか? 積年の恨みをイッキに晴らシテやるか、それとも……ん?」
仄暗い部屋の中、あかりを灯したランプで顔を照らされて眩しさに目を細める。対する男の顔は目深に被ったフードで確認出来ない。
男が杖先を伸ばしラインアーサの顎をすくい上げた。杖により視線は強制的に真正面を向かせられる。
声の調子や話し方で薄々と気がついてはいたが、声の主はやはりあの二人組だ。ジュリアンと拘束した筈の二人組が何故此処に居るのだろうか。
「おい! しかし何だってあの小娘に拘るんだ!? その位、俺たちにも知る権利があるだろう?」
「……オマエ達にはカンケイの無いコトだ。とにかく我々にはアノ娘が必要なんだよ。フリュイの娘がね…」
フリュイの娘……。やはりスズランの事だろう。
「では早速……。アーサ王子を人質にたててアノ娘を差し出す様に手筈を整えろ。利用出来るモノは利用しないとナ。頼んだぞ、ジェルマーノ」
「……畏まりました」
「さて。それまでアーサにはボクのオモチャにナッテもらうよ」
男は何処か嬉しそうにそう言うなり、こちらへと向かってくる。
「……」
「さあ、ドウ遊んでヤロウか? 積年の恨みをイッキに晴らシテやるか、それとも……ん?」
仄暗い部屋の中、あかりを灯したランプで顔を照らされて眩しさに目を細める。対する男の顔は目深に被ったフードで確認出来ない。
男が杖先を伸ばしラインアーサの顎をすくい上げた。杖により視線は強制的に真正面を向かせられる。