《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「アーサ!! それに、イリア!!! 逢いたかったよ!」
勢い良く扉が開き、息を付く間も無く飛び込んで来た人物にラインアーサとイリアーナは揉みくちゃにされた。
「へ、陛下!? 只今こちらから謁見の間へ足を運ぶ所でしたのに…」
「待ちきれずに来てしまったが、いけなかったかい? 暫く振りの再会なのだから許してくれるだろう、コルト?」
「ええ、まあ……」
コルトは目の前の光景に、苦笑いを浮かべながらも頷く。仮にその行為を咎められたとしても、ライオネルは両腕に愛する子どもたちをしっかりと抱きしめて離しそうにない。
「……父上、そろそろ離してくれって。姉上もまだ戸惑ってるし」
「お、お父様……少し、苦しい、ですわ」
十一年ぶりに聞いたイリアーナの声にライオネルははっとなった。
「ああ、時の流れはなんて残酷なのだ! 暫く見ないうちに息子はすっかり大きくなっているし、娘はとんでもなく別嬪になっているじゃあないか! 子どもたちの成長を見守れなかった自分を責めたいよ」
ライオネルは表情をくしゃりとさせ嘆いた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
勢い良く扉が開き、息を付く間も無く飛び込んで来た人物にラインアーサとイリアーナは揉みくちゃにされた。
「へ、陛下!? 只今こちらから謁見の間へ足を運ぶ所でしたのに…」
「待ちきれずに来てしまったが、いけなかったかい? 暫く振りの再会なのだから許してくれるだろう、コルト?」
「ええ、まあ……」
コルトは目の前の光景に、苦笑いを浮かべながらも頷く。仮にその行為を咎められたとしても、ライオネルは両腕に愛する子どもたちをしっかりと抱きしめて離しそうにない。
「……父上、そろそろ離してくれって。姉上もまだ戸惑ってるし」
「お、お父様……少し、苦しい、ですわ」
十一年ぶりに聞いたイリアーナの声にライオネルははっとなった。
「ああ、時の流れはなんて残酷なのだ! 暫く見ないうちに息子はすっかり大きくなっているし、娘はとんでもなく別嬪になっているじゃあないか! 子どもたちの成長を見守れなかった自分を責めたいよ」
ライオネルは表情をくしゃりとさせ嘆いた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。