《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
目の前に火花がちらつく程の衝撃に耐えるも、口の中に鉄を舐めた時の様な血の味が広がる。口内と唇の端が切れた様だ。
「……ダッタラ早速返シテ貰おうか…ミリアの心を……!!」
「……ミリア…?」
聞き覚えのある名だ。
その名はたしか───。
「───ソウ。ボクの婚約者…。ボクのミリア…」
「っ…お前……。やっぱりメルテ、なのか…?」
「……漸く気付イタ様だな!」
「いや、気付いていたが信じたく、、なかった……」
「フン…。相変ワラずバカの付くお人好しダな、アーサ!」
男がおもむろにフードを脱ぎ、ラインアーサへ冷たく凍る様な視線をよこす。肩程まで流れる美しい水縹の髪は絹糸の如く。私怨を宿した鋭い蒼の瞳がランプの光を反射させて薄暗い部屋の中に浮かびあがる。
俄かには信じたくないが目の前にはマルティーン帝国の第一皇子、メルティオールが確かにそこに立っていた。
「……ダッタラ早速返シテ貰おうか…ミリアの心を……!!」
「……ミリア…?」
聞き覚えのある名だ。
その名はたしか───。
「───ソウ。ボクの婚約者…。ボクのミリア…」
「っ…お前……。やっぱりメルテ、なのか…?」
「……漸く気付イタ様だな!」
「いや、気付いていたが信じたく、、なかった……」
「フン…。相変ワラずバカの付くお人好しダな、アーサ!」
男がおもむろにフードを脱ぎ、ラインアーサへ冷たく凍る様な視線をよこす。肩程まで流れる美しい水縹の髪は絹糸の如く。私怨を宿した鋭い蒼の瞳がランプの光を反射させて薄暗い部屋の中に浮かびあがる。
俄かには信じたくないが目の前にはマルティーン帝国の第一皇子、メルティオールが確かにそこに立っていた。