《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……俺はお前の事を信じる。それにまだこの部屋の術封じ…。解除した形跡はない。始めからそんな気なんて無いんだろ?」
「オマエッ……今ボクの目の前で力を使ッテおきナガら…!!」
メルティオールが忌々しげに杖を握り直した。
「俺自身は何と思われようと構わない。でも俺の周りの友人や、大切な人が哀しむ姿は見たく無いんだ…」
「バカめ…。世の中そんなコト言ッテたらヤッテられないンだ。……アーサ、オマエみたいな考えの甘いヤツは尚更だ…!!」
「……メルテ。お前、何かあったのか?」
「ダマレ。今度こそオマエの喉を潰シてヤル! 魔像術ナド使わナクても容易い。コノママ…っ」
メルティオールは杖を力一杯握りこむと、そのままラインアーサの喉笛へと杖先を押し付けた。
「ぁぐ…っメルテ! 待て…!」
───その時。
なんの前触れもなく、突如空気が重くなった。直後、まるで硝子に罅が入って軋む様な嫌な音が部屋中に響く。
「ナ、ナンダ今度は!? マタ、オマエの仕業か?」
「……いや、俺は何もしてない…!」
しかし瞬時にラインアーサの真横の空間が割れ破れた。空気そのものがまるで砕けた黒水晶の様に音を立てて粉々と地面へ散らばる。
「オマエッ……今ボクの目の前で力を使ッテおきナガら…!!」
メルティオールが忌々しげに杖を握り直した。
「俺自身は何と思われようと構わない。でも俺の周りの友人や、大切な人が哀しむ姿は見たく無いんだ…」
「バカめ…。世の中そんなコト言ッテたらヤッテられないンだ。……アーサ、オマエみたいな考えの甘いヤツは尚更だ…!!」
「……メルテ。お前、何かあったのか?」
「ダマレ。今度こそオマエの喉を潰シてヤル! 魔像術ナド使わナクても容易い。コノママ…っ」
メルティオールは杖を力一杯握りこむと、そのままラインアーサの喉笛へと杖先を押し付けた。
「ぁぐ…っメルテ! 待て…!」
───その時。
なんの前触れもなく、突如空気が重くなった。直後、まるで硝子に罅が入って軋む様な嫌な音が部屋中に響く。
「ナ、ナンダ今度は!? マタ、オマエの仕業か?」
「……いや、俺は何もしてない…!」
しかし瞬時にラインアーサの真横の空間が割れ破れた。空気そのものがまるで砕けた黒水晶の様に音を立てて粉々と地面へ散らばる。