《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
その場に居た誰もが息を飲んだ。
破られた隙間から生温い空気が大量に流れ込み、ラインアーサは思わず眼を細めた。
「……ナ、ンダト? 一体ナンなんだ? オマエたちには術封じが通用シナイとでも言ウのか…?」
「? …お前たち?」
メルティオールが焦りを見せつつ一歩後ずさる。隙間を覗き込む様にし確かめると、そこから響く聞き覚えのある声にラインアーサも動揺した。
「……無事ですね? ライア…」
「ハ リ…!? ……お前、なんで此処に…!!」
───破れた空間の向こう側から深い榛摺色の髪を揺らしてゆっくりと踏み出てきたのは、紛れもなくハリだ。
「チッ……側近のお出迎えか」
「ああ。これはご無沙汰しております、メルティオール殿。この度は私の主君がご迷惑をおかけした様ですね…。それで、お礼は如何程?」
「キサマ、一体…」
「……お礼は如何程、と伺っているのですが。メルティオール殿」
「…っ!」
ハリは静かな声で尋ねると共に、メルティオールの喉元に腕を伸ばし人差し指を差し向けた。
「やめろっ! ハリ!!」
「何故です? 今貴方がされている事と同じ様にして差し上げようと思ったのですが?」
破られた隙間から生温い空気が大量に流れ込み、ラインアーサは思わず眼を細めた。
「……ナ、ンダト? 一体ナンなんだ? オマエたちには術封じが通用シナイとでも言ウのか…?」
「? …お前たち?」
メルティオールが焦りを見せつつ一歩後ずさる。隙間を覗き込む様にし確かめると、そこから響く聞き覚えのある声にラインアーサも動揺した。
「……無事ですね? ライア…」
「ハ リ…!? ……お前、なんで此処に…!!」
───破れた空間の向こう側から深い榛摺色の髪を揺らしてゆっくりと踏み出てきたのは、紛れもなくハリだ。
「チッ……側近のお出迎えか」
「ああ。これはご無沙汰しております、メルティオール殿。この度は私の主君がご迷惑をおかけした様ですね…。それで、お礼は如何程?」
「キサマ、一体…」
「……お礼は如何程、と伺っているのですが。メルティオール殿」
「…っ!」
ハリは静かな声で尋ねると共に、メルティオールの喉元に腕を伸ばし人差し指を差し向けた。
「やめろっ! ハリ!!」
「何故です? 今貴方がされている事と同じ様にして差し上げようと思ったのですが?」