《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……違ったんだ」
「違うとは、何がです?」
決定的な違和感があった。ラインアーサの中で疑問符がどんどん大きくなる。
「っ…嫌な予感がする……」
ラインアーサがそう漏らした直後、またもや部屋中の空間がねじ曲がる嫌な感覚に襲われた。この感覚は二度目だった。〝あの時〟の物と同じだ。ラインアーサが空間移動の際に感じた嫌悪感。思い出したかの様にちくりと二の腕が痛み出す。案の定、目の前の空間がじりじりと裂けてゆく。その隙間からぞくりとする程冷たい声が響いた。
「やれやれ…。やはり駄目でしたねぇ。まあ予想通り、と言った所でしょうか」
「誰だ…!? 姿を見せろ!!」
「おや、シュサイラスアのアーサ王子はとんだ礼儀知らずな方ですね。人に名を訊ねる時は先ず自らの名を名乗る、とママから教わりませんでしたかねぇ?」
「…っ! 何故俺の名を知っている?」
声の主は一向に空間の裂け目から姿を現さない。
「……ふう。其処の二人組…。私が手を貸してやったのにも関わらず失敗するとは屑にも程がありますよ?」
「……手を、貸す…?」
「まあ良いでしょう。どうやら私の見込み違い、完全に私の〝失態〟と言う事にしておきましょうか」
「違うとは、何がです?」
決定的な違和感があった。ラインアーサの中で疑問符がどんどん大きくなる。
「っ…嫌な予感がする……」
ラインアーサがそう漏らした直後、またもや部屋中の空間がねじ曲がる嫌な感覚に襲われた。この感覚は二度目だった。〝あの時〟の物と同じだ。ラインアーサが空間移動の際に感じた嫌悪感。思い出したかの様にちくりと二の腕が痛み出す。案の定、目の前の空間がじりじりと裂けてゆく。その隙間からぞくりとする程冷たい声が響いた。
「やれやれ…。やはり駄目でしたねぇ。まあ予想通り、と言った所でしょうか」
「誰だ…!? 姿を見せろ!!」
「おや、シュサイラスアのアーサ王子はとんだ礼儀知らずな方ですね。人に名を訊ねる時は先ず自らの名を名乗る、とママから教わりませんでしたかねぇ?」
「…っ! 何故俺の名を知っている?」
声の主は一向に空間の裂け目から姿を現さない。
「……ふう。其処の二人組…。私が手を貸してやったのにも関わらず失敗するとは屑にも程がありますよ?」
「……手を、貸す…?」
「まあ良いでしょう。どうやら私の見込み違い、完全に私の〝失態〟と言う事にしておきましょうか」