《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサが二人組を見やると先ほどとは打って変わりすっかりと大人しくなっていた。それどころか畏怖して萎縮している。
「……で す が。このままでは私の気の収まる所が有りませんねぇ」
声の調子が途端に下がり危機感を察知したラインアーサは咄嗟に叫んだ。
「ハリ!! その二人を連れてここから逃げろ!」
「何故です!?」
「いいから早く!」
「……おや? 其処にいらっしゃるのは……ま、まさかっ…!!」
何やら声の主のが狼狽えている様に感じた。
「なんだ?」
「……そんな、まさか。いや、然しながら今私の耳にはしっかり〝玻璃〟と聴こえたのですが…」
「ハリの事を知ってるのか? ……お前一体何者だ…?」
「アーサ王子は少し黙ってて貰えます? 私、今とても大切な事を考えているのですから」
「っ…?」
少しの沈黙の後、声の主が裂け目から突如姿を現した。しかし、メルティオール同様黒いフードを目深に被り全く顔が確認出来ない状態だ。出てくるなりラインアーサと二人組を無視し、ハリの目の前で足を止めるなり跪いた。
「……玻璃様! お久しゅうございます!!」
「いえ。……どなたか存じません。おそらく人違いでは?」
「……で す が。このままでは私の気の収まる所が有りませんねぇ」
声の調子が途端に下がり危機感を察知したラインアーサは咄嗟に叫んだ。
「ハリ!! その二人を連れてここから逃げろ!」
「何故です!?」
「いいから早く!」
「……おや? 其処にいらっしゃるのは……ま、まさかっ…!!」
何やら声の主のが狼狽えている様に感じた。
「なんだ?」
「……そんな、まさか。いや、然しながら今私の耳にはしっかり〝玻璃〟と聴こえたのですが…」
「ハリの事を知ってるのか? ……お前一体何者だ…?」
「アーサ王子は少し黙ってて貰えます? 私、今とても大切な事を考えているのですから」
「っ…?」
少しの沈黙の後、声の主が裂け目から突如姿を現した。しかし、メルティオール同様黒いフードを目深に被り全く顔が確認出来ない状態だ。出てくるなりラインアーサと二人組を無視し、ハリの目の前で足を止めるなり跪いた。
「……玻璃様! お久しゅうございます!!」
「いえ。……どなたか存じません。おそらく人違いでは?」