《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
 言い訳するも疑わしげな視線を寄越すハリ。

「本当だって! 動けば動くほど食い込んできて…」

「では何か特殊な術でも掛かってたのかもしれませんね…」

 あからさまに呆れ気味のハリにラインアーサも苦笑する。

「それでハリ。人質にされていた民、三名も此処に居た。後この二人組の事なんだけど…」

「その二人についてはきちんと処罰を与えなくてはいけませんね。民の保護はどうします?」

 三名とは言え、この場所から抜け殻状態の者を移動させるのはそう簡単ではない。二人組は拘束されたまま悔しそうに肩を落としていた。

「……あ、兄貴ぃ…。俺らついに潮時っスかねぇ…」

「クソっ!! 俺はまだ…っ」

 其処へ馴染みのある明るい声が飛び込んできた。

「アーサ発見〜!! おーい無事かー?」

「ジュリ! 良いところに来てくれたな!!」

「……お疲れ様です。ジュリアン殿」

「んん? あれ? ハリ!? 何でお前ここに居るんだ? お前はあのまま酒場(バル)に残ってた筈だろう?」

「……まあ、色々あって来ました」

「はあ? どうやったら先に出た俺より早くここに着くんだよ…!?」

 来て早々、ジュリアンの頭に疑問符が浮かぶ。
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