《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
更に癒しの風を吹かせ、傷付いた二人の怪我を癒す。晴れて自由となった二人はゆっくりと立ち上がるも落ち着かず視線を彷徨わせた。
「お前たち、確か名は……ジェロームとエヴラールと言ったな」
「っ!! エヴラールはまだしも、何故俺の名を?」
突然名を呼ばれ驚いたジェロームはラインアーサの顔色を伺う。
「以前街でそう呼ばれていただろう? 違ったか?」
「ちっ。わざわざ覚えていやがったのかよ!」
「俺は記憶力は良い方なんだ。さて、今からお前たちに処罰を言い渡す。───本日。たった今から、ジュリアン・アダンソンの下に付き、身心ともに鍛える様命じる。異論は無いな?」
「正気か? 王子さんよぉ。俺らみたいな荒くれ者雇ってどうするつもりだ?」
「兄貴っ。雇ってくれるってなら良いじゃあないか、俺らもう何処にも行く宛が無いし…」
「お前は黙ってろ!」
ジェロームはラインアーサの瞳を捉えると強く睨みつけてくる。それに応えラインアーサも視線を外さずに見つめ返す。
「……何か不満があるなら何時でも意見を聞き入れよう。しかし、懲りず以前の様に問題事を起こしたり、この国の民を脅かすと言うのなら容赦はしない。次は無いと思ってくれ」
「お前たち、確か名は……ジェロームとエヴラールと言ったな」
「っ!! エヴラールはまだしも、何故俺の名を?」
突然名を呼ばれ驚いたジェロームはラインアーサの顔色を伺う。
「以前街でそう呼ばれていただろう? 違ったか?」
「ちっ。わざわざ覚えていやがったのかよ!」
「俺は記憶力は良い方なんだ。さて、今からお前たちに処罰を言い渡す。───本日。たった今から、ジュリアン・アダンソンの下に付き、身心ともに鍛える様命じる。異論は無いな?」
「正気か? 王子さんよぉ。俺らみたいな荒くれ者雇ってどうするつもりだ?」
「兄貴っ。雇ってくれるってなら良いじゃあないか、俺らもう何処にも行く宛が無いし…」
「お前は黙ってろ!」
ジェロームはラインアーサの瞳を捉えると強く睨みつけてくる。それに応えラインアーサも視線を外さずに見つめ返す。
「……何か不満があるなら何時でも意見を聞き入れよう。しかし、懲りず以前の様に問題事を起こしたり、この国の民を脅かすと言うのなら容赦はしない。次は無いと思ってくれ」