《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
セィシェルはラインアーサの腕を強引に掴むとスズランの部屋へと続く階段の方へ歩き出す。そして階段の前でぴたりと止まった。
「あんた。……スズのとこに行ってくれよ…」
「な…どうしたんだよ?」
「っ……駄目なんだ、俺じゃあ…」
俯いたセィシェルの横顔が悔しそうに歪んだ。
「駄目って…、スズランに何かあったのか? 無事なんだろ?」
「無事……だけど、あれから全然…、泣き止まなくて。何言っても飯も食わないし、眠れてないと思う。それに、隙をついて抜け出そうとするから今は部屋に閉じ込めてる…。親父がスズの部屋に煌像術で鍵を掛けてる……」
「マスターが!?」
煌像術で禁錮するなど余程だ。それ程ユージーンは本気でスズランの身を案じているのだろう。
「夜、皆の隙を着いてまた裏の森の奥まで行ったんだ。流石の親父も怒って連れ戻した…。それで部屋に閉じ込めたんだ」
森には強い結界が張ってあるが、危険な事には変わりない。
「そうだったのか」
「あいつ、ずっと自分を責めて塞ぎ込んでる。俺も親父も心配で何度か声をかけてるけど無駄なんだ。……でもあんたが行けばきっと…!」
「……いや。俺が行って、いいのか? 俺こそ、何も出来ないかもしれないのに…」
「っ…何言ってんだ! あんたじゃあなきゃ駄目なんだよ!!」
「あんた。……スズのとこに行ってくれよ…」
「な…どうしたんだよ?」
「っ……駄目なんだ、俺じゃあ…」
俯いたセィシェルの横顔が悔しそうに歪んだ。
「駄目って…、スズランに何かあったのか? 無事なんだろ?」
「無事……だけど、あれから全然…、泣き止まなくて。何言っても飯も食わないし、眠れてないと思う。それに、隙をついて抜け出そうとするから今は部屋に閉じ込めてる…。親父がスズの部屋に煌像術で鍵を掛けてる……」
「マスターが!?」
煌像術で禁錮するなど余程だ。それ程ユージーンは本気でスズランの身を案じているのだろう。
「夜、皆の隙を着いてまた裏の森の奥まで行ったんだ。流石の親父も怒って連れ戻した…。それで部屋に閉じ込めたんだ」
森には強い結界が張ってあるが、危険な事には変わりない。
「そうだったのか」
「あいつ、ずっと自分を責めて塞ぎ込んでる。俺も親父も心配で何度か声をかけてるけど無駄なんだ。……でもあんたが行けばきっと…!」
「……いや。俺が行って、いいのか? 俺こそ、何も出来ないかもしれないのに…」
「っ…何言ってんだ! あんたじゃあなきゃ駄目なんだよ!!」