《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ライオネルの腕にますます力が込められた。
「父上…っ苦しいって! そろそろ離して」
「ああ、すまない。それにしても本当に無理をして……うん? その割に顔色は良いな。少し安心したよ」
漸く離してもらえたが、言葉とは裏腹に心配そうにラインアーサの顔を覗き込むライオネル。
「ん…。ちょっと色々あって。でも全身汚れてるから着替えて身なりを整えたら父上の所に行こうと思ってたんだけど…」
「あはは、帰りが待ちきれずに部屋の前で待ち伏せしてしまったよ」
「詳しく報告をしたいんだけどここじゃ何だし、着替えたら父上の部屋に行くから」
「そうか、ならば私は先に戻ってお茶の用意でもしておくよ。アーサの大好きな焼き菓子も用意させよう」
ライオネルはそう言うなりいつもの様に笑顔を見せ、慌ただしく小走りで戻って行った。相変わらずな父王の様子に安心する。しかし───。
〝父親にさえ信頼されていない〟
〝国王はオマエを恨んでいる〟
この後に及びライオネルに憎まれてるとは感じない。だがどうしてもメルティオールに言われた〝あの言葉〟が引っかかる。
ラインアーサは急いで身なりを整えると早足でライオネルの部屋へと足を運んだ。
「父上…っ苦しいって! そろそろ離して」
「ああ、すまない。それにしても本当に無理をして……うん? その割に顔色は良いな。少し安心したよ」
漸く離してもらえたが、言葉とは裏腹に心配そうにラインアーサの顔を覗き込むライオネル。
「ん…。ちょっと色々あって。でも全身汚れてるから着替えて身なりを整えたら父上の所に行こうと思ってたんだけど…」
「あはは、帰りが待ちきれずに部屋の前で待ち伏せしてしまったよ」
「詳しく報告をしたいんだけどここじゃ何だし、着替えたら父上の部屋に行くから」
「そうか、ならば私は先に戻ってお茶の用意でもしておくよ。アーサの大好きな焼き菓子も用意させよう」
ライオネルはそう言うなりいつもの様に笑顔を見せ、慌ただしく小走りで戻って行った。相変わらずな父王の様子に安心する。しかし───。
〝父親にさえ信頼されていない〟
〝国王はオマエを恨んでいる〟
この後に及びライオネルに憎まれてるとは感じない。だがどうしてもメルティオールに言われた〝あの言葉〟が引っかかる。
ラインアーサは急いで身なりを整えると早足でライオネルの部屋へと足を運んだ。