《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
マルティーン帝国はシュサイラスア大国が所在している広大なウェントゥス大陸から大海を挟んだ遠方に位置する。ここ最近色々と忙しくしていたライオネルが簡単に足を運べる距離だとは思えない。
「……アーサ。私は今までずっとお前に色々な隠し事をしてきたんだ。今からそれを話したいのだが、どうか…。父様の事を嫌いにならないでおくれ…」
「俺が父上の事を嫌いになんてなるわけないだろ! 逆にだけど……父上は俺の事。憎んだり恨んだりとか、してるのか?」
「私が…!? 何故私がお前を憎んだり恨む必要があるのだ? 今まで色々と寂しい思いはさせてしまったかも知れないが、私がお前の事を疎ましく思った事などお前が産まれてから唯の一度もない! イリアもお前も大切な家族で私の宝だよ。特にアーサ、お前はエテジアーナと本当にそっくりで…っ」
そこまで一気に話すとライオネルは目頭を押さえ喉を詰まらせた。多少大袈裟とも取れる動作だが恐らく本気だ。
「ち、父上? 悪かったよ、変な事口走って。俺だって憎まれてると感じた事なんて一度もないよ。ただ、ちょっとそんな噂を聞いたもんだからつい…」
「なんて酷い噂だ。私はこんなにも家族を愛していると言うのに…」
「あの。それでその……隠し事って、やっぱり母様の事?」
「……アーサ。私は今までずっとお前に色々な隠し事をしてきたんだ。今からそれを話したいのだが、どうか…。父様の事を嫌いにならないでおくれ…」
「俺が父上の事を嫌いになんてなるわけないだろ! 逆にだけど……父上は俺の事。憎んだり恨んだりとか、してるのか?」
「私が…!? 何故私がお前を憎んだり恨む必要があるのだ? 今まで色々と寂しい思いはさせてしまったかも知れないが、私がお前の事を疎ましく思った事などお前が産まれてから唯の一度もない! イリアもお前も大切な家族で私の宝だよ。特にアーサ、お前はエテジアーナと本当にそっくりで…っ」
そこまで一気に話すとライオネルは目頭を押さえ喉を詰まらせた。多少大袈裟とも取れる動作だが恐らく本気だ。
「ち、父上? 悪かったよ、変な事口走って。俺だって憎まれてると感じた事なんて一度もないよ。ただ、ちょっとそんな噂を聞いたもんだからつい…」
「なんて酷い噂だ。私はこんなにも家族を愛していると言うのに…」
「あの。それでその……隠し事って、やっぱり母様の事?」