《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「それもあるが、一番はお前自身の事なのだよ」

「俺、自身の事…?」

「そうだね、まず私の事から話そう。先ほど私はマルティーン帝国に行ったと話したね?」

「ああ、そうだ。かなり距離があるのに短期間でどうやって……って、まさか父上。空間移動の煌像術(ルキュアス)を使えるのか?」

「……その通りだよ。厳密に言うと古代リノ族が残した煌像術(ルキュアス)であって空間移動のような魔像術(ディアロス)とは少し別の物なのだが…」

「なっ!? 古代リノ族が残した煌像術(ルキュアス)?? じゃあなんでこの間聞いた時教えてくれなかったんだよ!! 酷いじゃあないか! 今からでも良いから俺にもその煌像術(ルキュアス)を…」

「まあ、焦らずに聞いておくれ。古代術はとても複雑で繊細なのだよ、そう簡単には……と言う前置きはさておき、きっとお前ならばすぐに扱えるようになっただろうね」

「じゃあなんで無理だなんて言ったんだよ…!」

「……アーサ。お前の左二の腕にある刺青…。何の為のものだと思う?」

「知らない。第一聞いても教えてくれなかったじゃあないか。ただのお守り的なものなんだろ……後はたまに痛むって事位しか」

 つい口調が刺々しくなってしまう。

「痛むのか…?」

「え、ああ。たまにだけど最近は特に…」

「……そうか。やはりそろそろなのかな」
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