《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
────大事な話。
恐らくイリアーナを十一年もの間匿っていてくれたオゥ鉱脈都市の今後の所在について話し合うのだろう。
内乱時に消滅したと言われていた〝大地の息吹〟と宝石の都───。
密かにだが、それでも滅ばずに生きていてくれて本当に良かった。
「……俺は後から戻るけど、ハリはどうする? 疲れてるならこれ持って先に帰っててくれないか?」
ラインアーサは堅苦しい正装の上着とかぶっていた羽飾りの帽子を脱いで一纏めにし、行進時に街娘たちから渡された大きな花束や祝いの品々と共にハリへ押し付けた。
「なんですかライア……こんな大荷物、私にどうしろと?」
「先に戻って俺の部屋に置いといてよ。なんなら後からハリも来る?」
ラインアーサは調子良く笑って見せた。
この笑い方にハリの直感が働く。
「……駄目です。ライア、その〝癖〟そろそろ改めた方がいいですよ? そんな風でも貴方は一国の王子なのですから」
「何で? 国のことをもっと知りたいと思うのは悪いことじゃあないだろ? て言うか、そんな風ってどんな風だよ!」