《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「! ええっと……既に何処かで会った事があるとか…?」

「実際に会った事はないよ。ただ昔から知ってはいるんだ。ちょっと知人からの話でね。しかしその娘が今回の事件の標的になるとはね。迂闊だったよ…」

「……父上! 少しでも理由を知っているのなら話は早い。俺はスズランを守りたいんだ…! 俺その、、彼女の事、凄く…」

「ふふふ、大体は分かっているよ。その娘さんもお前の事が大好きみたいだからね? 早くくっつけば良いのになあ、と焦れったく思っていたから父様は嬉しいよ!」

「……んん? 早くって…、何で見てきたみたいに…」

「私が王宮の周りに結界を張っている事は知っているだろう? 私の煌像術(ルキュアス)はとても強力でね……結界の中で起きた大体の出来事は把握しているのだよ」

 悪びれる様子どころか少し悪戯っぽい顔をするライオネル。

「……そ、それってまさかだけど…」

「さて、私の結界の範囲は何処までだと思う?」

 さらににっこりと微笑む。

「……王宮の周辺の森の所まで…?」

「残念! 惜しいなあ。森の中はもちろん、更にその入り口付近もだよ」

「…ってことは、あの酒場(バル)の裏庭周辺も全部なのか…?」

「もちろん範囲内だ」
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