《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
───一方、リノ族は新天地にて一から国を造っていった。
七人の力ある者たちが立ち上がりリノ族をまとめ、導いた。
リノ族が安心して平和に過ごせる理想の世界を創り上げる為、人知をも超える自然の力を惜しみなく注ぎ、尽力し、協力し合い創り上げたのだ。
誰もが平穏に過ごせる世界を───。
しかしながら、どんなに尽力しても全ての不安が消えた訳ではなかった。力が強い者と弱い者との間に地位が築かれる構図からは逃れられない。
更に危惧すべき難事にあたる。
頂点に立つ者のごく一部にヒト族への〝復讐〟という密かな野望を持ち、憎しみを育て続けた者が居たのだ。その小さな黒い〝歪〟は長い歳月を経て大きな〝闇〟となり、一見平穏で豊かなリノ・フェンティスタを確実に暗い色へと染めていく。
〝それ〟は水面下で膨張し続け、限界に達すると遂に弾けた。
平穏な日々は内乱によって奪われ、元より争い事を好まないリノ族の殆どは復讐を望ましくないと 事の行く末を、そう結論づけた。
間もなくして事の元凶である〝闇〟は封印される事となった。
───そして再び、リノ・フェンティスタには平穏である日常が戻って来たのだった。