《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
 急に振り向いたスズランが背伸びをしながら胸元を掴んできた。次の瞬間、暖かい唇が頬に触れる。───以前もこんな事があった。

「ライアがさみしくないおまじない…!」

 しかし今回はそう言ってふわりと微笑んだ。その笑顔がどうしようもなく愛らしくて、顔に熱が集中するのがわかった。同時に理性の(たが)が緩む。

「ずるいな…」

「だって、きゃっ」

「……仕返し」

「あっ? ん…っ! だ、だめ……もうすぐ集荷の、じかんだからっ…」

「俺にもさせて…、おまじない」

 壁際に追い詰めて腕の中に閉じ込める。細い腰の曲線を掌でなぞるとびくりと身体を震わせ、しがみついてくるスズラン。

「や、ぁ…っ、まって……ライア…っ」

 薄暗い貯蔵庫の灯の中、彼女の甘い香りに意識が支配されていく。

「いいよ、そのまま俺に捕まってて」

「ぁ……んっ」

「……スズラン」

 スズランの柔らかで抱き心地の良い身体を思う存分味わう。

「ふぁあ…っ!?」

「力抜いて…」

 首筋や胸元の露な部分に舌を這わせ唇で強く吸いあげると、まっさらな素肌に赤い花弁が散った。

「……痛っ…ぁ、…!」

「ん……大丈夫か?」

「っ…へいき…。ん……あれ……た、立てない…」
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