《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
今晩、王宮の広間で晩餐会が開かれる。それに合わせ正装服に着替え、身なりを整えてゆくラインアーサ。いつもの気軽な装いではない為、嫌でも気が引き締まった。
次いで広間に入ると既にライオネルも待機しており、最奥に設置してある豪華な椅子に座る様に促される。ふと目線を上げるとその傍らにはハリが立っていた。
「……ハリ!」
「今日はちゃんと王子らしく振舞ってくださいね。ライア」
「分かってるよ」
ハリと言葉を交わすのは久々だった。それどころか最近互いにこなしている仕事内容が違う為、こうしてゆっくり姿を確認する事すら出来ていなかった。それでも以前と変わらぬ口調のハリにラインアーサは何故か安堵した。
───間もなくして始まった晩餐会だが、開始早々表情筋が今にも硬直しそうな程によそ行きの笑顔を維持し、上品且つにこやかに微笑む。必死に欠伸とため息を噛み殺す自体となっていたが、最近ずっと働き詰めで寝不足なのだから許して欲しい所だ。
「本日は足を運んでくださった事、深く感謝しています。貴女のお目にかかれて光栄です」
先程から目の前に列をなして並ぶ令嬢に対し、機械の如く何度もこの台詞を発している。漸くそれからも開放されたと思ったが、それはまだ各々の顔合わせ兼、自己紹介が済んだだけの事だ。
次いで広間に入ると既にライオネルも待機しており、最奥に設置してある豪華な椅子に座る様に促される。ふと目線を上げるとその傍らにはハリが立っていた。
「……ハリ!」
「今日はちゃんと王子らしく振舞ってくださいね。ライア」
「分かってるよ」
ハリと言葉を交わすのは久々だった。それどころか最近互いにこなしている仕事内容が違う為、こうしてゆっくり姿を確認する事すら出来ていなかった。それでも以前と変わらぬ口調のハリにラインアーサは何故か安堵した。
───間もなくして始まった晩餐会だが、開始早々表情筋が今にも硬直しそうな程によそ行きの笑顔を維持し、上品且つにこやかに微笑む。必死に欠伸とため息を噛み殺す自体となっていたが、最近ずっと働き詰めで寝不足なのだから許して欲しい所だ。
「本日は足を運んでくださった事、深く感謝しています。貴女のお目にかかれて光栄です」
先程から目の前に列をなして並ぶ令嬢に対し、機械の如く何度もこの台詞を発している。漸くそれからも開放されたと思ったが、それはまだ各々の顔合わせ兼、自己紹介が済んだだけの事だ。