《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
数にして十二名───。
その一人ひとりの自己紹介の長さと言ったらかなりの物で、それぞれのこれでもかと思う程の自己開示にやや疲れてくる。如何にして己の魅力を紹介するかで競い合う女性達を目の前に、それでも笑顔を崩さなかったことを褒めてもらいたいくらいだ。
今回の晩餐会の意図。それはこの数年の間で国内外から申し入れられた見合いの相手を一度にもてなす為だ。これは自身が何件もの申し入れを放置して溜め込んだ結果だった。目的としては感謝の気持ちを伝えた後、情理を尽くした対応で〝縁談を辞退〟する為にこの場を整えたのだ。それを十二名個々に行うよりも、皆の前で同じ条件の元行いたかったのだ。
ラインアーサはそれを自身の我が儘だと自省しつつも、そうしなければならない理由があった。勿論スズランの存在だ。特別な存在である彼女に対し、無責任な行動は取りたくない。誠意を示すためには避けられない、いや避けてはいけない事だ。
ほんの数刻前、彼女と触れ合った事を思い出すと心がじんわりと暖かくなり僅かに頬が緩む。
「……ライア。今は余計な事は考えずに目の前の事に集中して下さい」
「もちろん」
内心を見抜かれたのかハリに小言を言われる始末。ラインアーサは背筋を伸ばし直した。
その一人ひとりの自己紹介の長さと言ったらかなりの物で、それぞれのこれでもかと思う程の自己開示にやや疲れてくる。如何にして己の魅力を紹介するかで競い合う女性達を目の前に、それでも笑顔を崩さなかったことを褒めてもらいたいくらいだ。
今回の晩餐会の意図。それはこの数年の間で国内外から申し入れられた見合いの相手を一度にもてなす為だ。これは自身が何件もの申し入れを放置して溜め込んだ結果だった。目的としては感謝の気持ちを伝えた後、情理を尽くした対応で〝縁談を辞退〟する為にこの場を整えたのだ。それを十二名個々に行うよりも、皆の前で同じ条件の元行いたかったのだ。
ラインアーサはそれを自身の我が儘だと自省しつつも、そうしなければならない理由があった。勿論スズランの存在だ。特別な存在である彼女に対し、無責任な行動は取りたくない。誠意を示すためには避けられない、いや避けてはいけない事だ。
ほんの数刻前、彼女と触れ合った事を思い出すと心がじんわりと暖かくなり僅かに頬が緩む。
「……ライア。今は余計な事は考えずに目の前の事に集中して下さい」
「もちろん」
内心を見抜かれたのかハリに小言を言われる始末。ラインアーサは背筋を伸ばし直した。