《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
今夜此処に集まっている令嬢達は国内外から列席しており、国内貴族出身の者や国外の大きな街の領主の娘、果ては今回遠方の為出席こそ出来なかったものの焔の国 アザロア国の姫君からの書簡まで届いていた。ラインアーサの記憶が正しければ、アザロア国の姫君はまだ十代に差し掛かったばかりの年端も行かぬ少女だった筈だ。
程なくして一同の自己紹介が終わった。とは言え目の前の煌びやかに着飾った令嬢達にかけてやる言葉はもう決まっている。
この行動により己の立場は勿論、自国の印象さえ落としてしまう可能性すらある。それでも、ぐっと気持ちを引き締めゆっくりと前へ歩を進め、広間の中央で歩立ち止まる。全ての視線がラインアーサへと集められた。立場上注目される事には慣れているがこれまでに無いほどの歓声と熱が注がれる。
ラインアーサは狼狽えずに大きく息を吸い込みゆっくりと言葉を紡いだ。
「本日は忙しい中この晩餐会に足を運んでくれてありがとう! たくさんの申し入れ、本当に感謝している。しかし皆には申し訳ないが、どうしても伝えなければならない事がありこの場を設けさせて貰った」
この発言に会場がざわめく。雰囲気を察したのか先ほどまでの浮かれた様子から一変する令嬢達。
程なくして一同の自己紹介が終わった。とは言え目の前の煌びやかに着飾った令嬢達にかけてやる言葉はもう決まっている。
この行動により己の立場は勿論、自国の印象さえ落としてしまう可能性すらある。それでも、ぐっと気持ちを引き締めゆっくりと前へ歩を進め、広間の中央で歩立ち止まる。全ての視線がラインアーサへと集められた。立場上注目される事には慣れているがこれまでに無いほどの歓声と熱が注がれる。
ラインアーサは狼狽えずに大きく息を吸い込みゆっくりと言葉を紡いだ。
「本日は忙しい中この晩餐会に足を運んでくれてありがとう! たくさんの申し入れ、本当に感謝している。しかし皆には申し訳ないが、どうしても伝えなければならない事がありこの場を設けさせて貰った」
この発言に会場がざわめく。雰囲気を察したのか先ほどまでの浮かれた様子から一変する令嬢達。