《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
強引にスズランの手を取ると二人きりになれる場所を求め、大窓へと向かい開け放つ。そのまま横庭に続く階段付きの露台へと出た。冷えた外気を吸い込むとほろ酔いだった思考がはっきりとしてくる。
一瞬、スズランが身を震わせた。
「寒い?」
「……ううん」
「また風邪を引くから無理は駄目だ」
「……」
しかしスズランは無言で頭を横に振った。どことなく顔色が冴えない様に見える。
「スズラン…?」
「……あの、わたし。王宮に来て良かったの、かな?」
手元を見つめたまま小さく呟くスズラン。
「それは凄く驚いたよ。まさかスズランが目の前に現れるなんて思ってもいなかったんだ。でもすごい嬉しい…。言葉に出来ないくらい」
「お仕事ってこの晩餐会の事だったんだね」
気恥ずかしいので秘密にしておきたかったのだが本人が参加してくれた以上隠す意味が無い。
「そうなんだ……俺、この晩餐会を終わらせたらスズランを迎えに行こうって決めてたんだ。でも先を越されてしまったな…。スズランが来るって知ってたらもっとちゃんとしたのに、格好悪くてごめん」
「かっこ悪くない… 。だってやっぱりあなたは王子様で…、すごく素敵で、眩しくて。わかってたけど、何もないわたしとは大違いで…」
一瞬、スズランが身を震わせた。
「寒い?」
「……ううん」
「また風邪を引くから無理は駄目だ」
「……」
しかしスズランは無言で頭を横に振った。どことなく顔色が冴えない様に見える。
「スズラン…?」
「……あの、わたし。王宮に来て良かったの、かな?」
手元を見つめたまま小さく呟くスズラン。
「それは凄く驚いたよ。まさかスズランが目の前に現れるなんて思ってもいなかったんだ。でもすごい嬉しい…。言葉に出来ないくらい」
「お仕事ってこの晩餐会の事だったんだね」
気恥ずかしいので秘密にしておきたかったのだが本人が参加してくれた以上隠す意味が無い。
「そうなんだ……俺、この晩餐会を終わらせたらスズランを迎えに行こうって決めてたんだ。でも先を越されてしまったな…。スズランが来るって知ってたらもっとちゃんとしたのに、格好悪くてごめん」
「かっこ悪くない… 。だってやっぱりあなたは王子様で…、すごく素敵で、眩しくて。わかってたけど、何もないわたしとは大違いで…」