《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
 スズランは隣で真っ赤になりながら硬直していた。良い雰囲気だっただけについ不満の声が漏れる。

「何で邪魔するんだよ…」

「悪かったよ。そうだ! ではアーサはこのままスズランさんを家まで送り届けなさい」

「……いいのか?」

「大丈夫だよ。その代わり送り狼にはならないようにね」

「なっ!? 当たり前だろ!! 何言って…」

「ははは、冗談だよ。さて、スズランさん。こんな息子なのですが、これからもよろしく頼みます」

「は、はい…! こ、こちらこそ……ょろしくお願いします!」

 しどろもどろになりながらもスズランは深く頭を下げた。

「まあまあ、そんな固くならずに。今度はちゃんとした形で招待するのでまた来てくれるかな?」

「はいっ…もちろんです!」

「ふふ、とても可愛いね。良かったなぁ、アーサ! 私も嬉しいよ!!」

「ああ、もう! わかったよ父上。恥ずかしいからやめて」

 終始にこにこ顔のライオネルを背に、そのまま露台(テラス)の階段を使い庭園へと降りた。

「……ごめんな、スズラン。父上っていつもああなんだ…」

「ううん。でも仲が良くてうらやましいな。それに。少し子供っぽい所が見れてなんだか嬉しい」
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