《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
 勢いに任せスズランを押し倒し再び口づける。先程よりも深く、甘い唇を味わう様に。
 はじめの頃は口づけても嫌がって身動ぐばかりだったスズラン。今は───。今ではラインアーサに応えてくれる。それが嬉しくて何度も角度を変えては唇を寄せる。

「俺。スズランの事、大切にする。ずっと側で守って行きたいんだ……だから、いつも俺の隣で笑っていて欲しい」

「ライア…」

「スズラン……好…」

「おっかえりスズ! 帰ってきてたんだな!!」

 態とらしく大きな声を上げ部屋に入ってきたセィシェルによって、ラインアーサの告白はまたも失敗に終わった。

「……セィシェル…。お前!」

「あ、居たのかあんた」

「何言ってんだ! 今絶っ対にわざと入ってきただろ!」

「は? 何のことだかさっぱりだぜ」

「…っいい加減に」

 ラインアーサもいよいよ痺れを切らし喧嘩腰な態度を取ろうとしたが、その前にスズランの悲痛な叫びが部屋中に響いた。

「〜っ! もう! セィシェルの馬鹿ぁ! 出ていって…!!」

「お、怒るなよ。な? スズ…」

 可愛らしい枕が勢い良くセィシェルの顔面に命中する。

「嫌ーー! こっち見ないでー!! もう、二人とも出ていってーー!!」
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