《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ありがとう。皆に祝ってもらえて今日は本当に素晴らしい日になった!」
挨拶をすると謁見の間に拍手喝采がおこる。
傍らに立っているライオネルは満面の笑みを浮かべていて今にも勢いで抱きついてきそうでかなり面映い。
「今日は一年のうちでアーサがこの世に生を受けた日と暦を等しくする記念すべき日だ。私はこの国を率いる王子である息子がまた一つ齢を重ねて健やかに成長してくれたことを心から嬉しく思っている。どうかこの喜びを皆と分かち合いたい! 殊に、国民皆の健康と幸運、そして愛に乾杯!!」
ライオネルの言葉に次々と歓呼の声があがった。
「皆ありがとう。父…、いや。陛下も……でもなんて言うか、これは照れるな」
「何を言う。ここ数年まともに祝えなかったんだ。国王として、いいや父親としてこの位はさせておくれ!」
「父上…」
赤面の至りだが何とかはにかむと予想は的中。ライオネルが力強く抱き締めてきた。幼い子供を褒めるがごとくの抱擁にますます羞恥心が募る。そうして生誕祝いに伴う謁見が終了する頃にはどっと疲れきってしまったラインアーサだった。
「……ああ。やっっと解放された…!」
自室に戻り堅苦しい礼服のまま長椅子へと身を投げ出す。そのままごろりと仰向けになりたい気分だ。
挨拶をすると謁見の間に拍手喝采がおこる。
傍らに立っているライオネルは満面の笑みを浮かべていて今にも勢いで抱きついてきそうでかなり面映い。
「今日は一年のうちでアーサがこの世に生を受けた日と暦を等しくする記念すべき日だ。私はこの国を率いる王子である息子がまた一つ齢を重ねて健やかに成長してくれたことを心から嬉しく思っている。どうかこの喜びを皆と分かち合いたい! 殊に、国民皆の健康と幸運、そして愛に乾杯!!」
ライオネルの言葉に次々と歓呼の声があがった。
「皆ありがとう。父…、いや。陛下も……でもなんて言うか、これは照れるな」
「何を言う。ここ数年まともに祝えなかったんだ。国王として、いいや父親としてこの位はさせておくれ!」
「父上…」
赤面の至りだが何とかはにかむと予想は的中。ライオネルが力強く抱き締めてきた。幼い子供を褒めるがごとくの抱擁にますます羞恥心が募る。そうして生誕祝いに伴う謁見が終了する頃にはどっと疲れきってしまったラインアーサだった。
「……ああ。やっっと解放された…!」
自室に戻り堅苦しい礼服のまま長椅子へと身を投げ出す。そのままごろりと仰向けになりたい気分だ。