《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……特に。どうという事はないのですが、葡萄だった昨年は祭りの間街の至る所で搾りたての葡萄酒が道行く人々に振舞われたそうですね。それを思うと昨年居なかった自分に、、いえ…。何故今年も葡萄が主役では無いのかが実に残念でなりません。私としては何年も寝かせて熟成した葡萄酒が好みです。しかし搾りたてと言うのにはやはりとても興味を駆り立てられます。何故なら…」
ハリが真顔で語り出し、呆気に取られる。
「ふっ…くくっ! ハリって本当に葡萄酒好きだよな! じゃあ今度また飲みに行こう。なんなら葡萄酒専門店に行く? そういえばまだハリの魔像術について詳しく聞けてないし…」
「……いいですね。ですが、飲みすぎは禁物ですよ」
「なんだよ、そこは手厳しいまま?」
「勿論です」
頑なな態度に苦笑するもたくさん話すことによってハリの感情が豊かになれば……。とラインアーサは思った。
会話を続けながら衣装棚を開き、動きやすい服に着替える。乱れた髪を手櫛で整えて襟足を髪紐で結んだ。
「本当にハリには感謝してるよ。姉上を探しに旅をした四年間はもちろん。当時、内乱や様々な理由で皆王宮から居なくなってしまって心細かった俺にはすごく嬉しかったんだ」
「へえ…。そうだったんですね……」
「その分の恩を返させてくれ。俺、ハリの家族も必ず捜し出すよ」
ハリが真顔で語り出し、呆気に取られる。
「ふっ…くくっ! ハリって本当に葡萄酒好きだよな! じゃあ今度また飲みに行こう。なんなら葡萄酒専門店に行く? そういえばまだハリの魔像術について詳しく聞けてないし…」
「……いいですね。ですが、飲みすぎは禁物ですよ」
「なんだよ、そこは手厳しいまま?」
「勿論です」
頑なな態度に苦笑するもたくさん話すことによってハリの感情が豊かになれば……。とラインアーサは思った。
会話を続けながら衣装棚を開き、動きやすい服に着替える。乱れた髪を手櫛で整えて襟足を髪紐で結んだ。
「本当にハリには感謝してるよ。姉上を探しに旅をした四年間はもちろん。当時、内乱や様々な理由で皆王宮から居なくなってしまって心細かった俺にはすごく嬉しかったんだ」
「へえ…。そうだったんですね……」
「その分の恩を返させてくれ。俺、ハリの家族も必ず捜し出すよ」