《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「その慌てた御様子。さては何か、御座いましたか?」

「ああ、ついさっきハリの様子が…」

「ライア、もう本当に大丈夫ですから」

 薬師のエルベルトと、医務室に居合わせたジュストベルにも先程の事を話す。状況を思い出してはやきもきしてしまう。既に落ち着きを取り戻したハリによれば、少し前からこの頭痛が頻繁になり、徐々に痛みも増しているが心配は要らないとの事。とは言え今回は一段と酷そうに見えたが……。
 そんな中ジュストベルは慣れた動作で手際良く茶を淹れ、ハリの前へ「どうぞ」と差し出す。エルベルトとジュストベルが茶葉や薬草を特別に調合した、気持ちを落ち着かせ、鎮痛と安楽効果がある特殊な香草茶だ。
 ハリは小さく感謝を述べるとお茶を口にした。その様子を見てラインアーサも一息つく。

「良かった、ありがとうエルベルト先生。ジュストベルも助かったよ」

「いいえ。あとは我々にお任せ下さい」

「ああ、悪いけど頼むよ。ん……そうだ俺、午後は姉上に呼ばれているんだった。すっかり忘れる所だったよ」

「すみませんライア。落ち着きましたら私もそちらに向かいますので」

「ああ。無理だけはしないでくれよ、ハリ」

「はい」

 この二人に任せれば心配ない。
 しかし、今回確信した。
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