《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……あのさ。姉上が焼き菓子をたくさん作ったんだ。それで、その。皆にもスズランを紹介したいし、良かったら夕方からのパーティに来てくれないか? 今日、実は俺の誕生日なんだ…」
「えっ、それって王宮のパーティ? わたしが行ってもいいの?」
「もちろん! スズランに来て欲しいんだ。パーティっていっても規模の大きなやつじゃあなくて、身内だけのだから」
「しょ、紹介ってその……あ、でも今日は収穫祭でお店がすごく忙しいからマスターに聞いてみないと」
「そう、だよな…。ここは人気の店だし。仕事で忙しいなら仕方ないよ」
忙しいのは分かっていたし、昨日まで手伝いに来ていたからそう簡単に仕事を抜けられないのも知っている。それでもスズランの顔が見たくて誘いに来てしまったのだ。
「ライア、お誕生日おめでとう」
「ありがとうスズラン」
「誘ってくれたのに。お祝いに行けなかったらごめんなさい」
「ん、いいよ。後で焼き菓子を届けに来るよ。じゃあまた……」
自然と見つめ合う。柔らかい髪を梳く様に触れると切なそうに眉を下げるスズラン。少し潤んだ瞳を覗き込むとそれを隠す様に瞼が閉じられた。今にも唇と唇が重なろうとした瞬間、刺々しく苛ついた咳払いに遮られる。
「行って来れば!? ったく」
「セィシェル!!」
「お前、いつからそこに…!」
「えっ、それって王宮のパーティ? わたしが行ってもいいの?」
「もちろん! スズランに来て欲しいんだ。パーティっていっても規模の大きなやつじゃあなくて、身内だけのだから」
「しょ、紹介ってその……あ、でも今日は収穫祭でお店がすごく忙しいからマスターに聞いてみないと」
「そう、だよな…。ここは人気の店だし。仕事で忙しいなら仕方ないよ」
忙しいのは分かっていたし、昨日まで手伝いに来ていたからそう簡単に仕事を抜けられないのも知っている。それでもスズランの顔が見たくて誘いに来てしまったのだ。
「ライア、お誕生日おめでとう」
「ありがとうスズラン」
「誘ってくれたのに。お祝いに行けなかったらごめんなさい」
「ん、いいよ。後で焼き菓子を届けに来るよ。じゃあまた……」
自然と見つめ合う。柔らかい髪を梳く様に触れると切なそうに眉を下げるスズラン。少し潤んだ瞳を覗き込むとそれを隠す様に瞼が閉じられた。今にも唇と唇が重なろうとした瞬間、刺々しく苛ついた咳払いに遮られる。
「行って来れば!? ったく」
「セィシェル!!」
「お前、いつからそこに…!」