《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ママったら! 早くあっちのお店もいこうよ 」
リタは何度も頭を下げる母親の手を引っ張ると祭り客で賑わう人混みの中に消えていった。その一瞬前に振り向きラインアーサとスズランに向け笑顔で小さく手を振った。結局リタには見抜かれていたらしい。
「なんだか逆に助けられたみたいだな…、はは」
「ほんとびっくりしちゃったけど、リタちゃん可愛かった!」
「ああ。あんなに小さいのにしっかりしてるんだな」
「……うん…。でもちゃんとお母さんが迎えにきてくれて良かった。一人ぼっちって本当に心細いもの…」
「……!!」
寂しそうな横顔にはっとする。
自分の事を捨て子だと思っていたスズラン。迷子のリタと幼い頃の自分を重ねたのだろうか。
「……あ、何でもないの! ただ本当に良かったなって…」
「スズラン…」
「……大丈夫、前にライアが教えてくれたもん。ちゃんと信じてるよ。わたしは捨て子なんかじゃ…、あれ? ……ごめんなさい。ち、違うの。……見ないでっ…」
そう言うとスズランは俯いてしまった。ひたむきに涙を隠す姿がいじらしくてそっと胸に抱き寄せる。ラインアーサは優しく頭を撫でる事しか出来なかった。
リタは何度も頭を下げる母親の手を引っ張ると祭り客で賑わう人混みの中に消えていった。その一瞬前に振り向きラインアーサとスズランに向け笑顔で小さく手を振った。結局リタには見抜かれていたらしい。
「なんだか逆に助けられたみたいだな…、はは」
「ほんとびっくりしちゃったけど、リタちゃん可愛かった!」
「ああ。あんなに小さいのにしっかりしてるんだな」
「……うん…。でもちゃんとお母さんが迎えにきてくれて良かった。一人ぼっちって本当に心細いもの…」
「……!!」
寂しそうな横顔にはっとする。
自分の事を捨て子だと思っていたスズラン。迷子のリタと幼い頃の自分を重ねたのだろうか。
「……あ、何でもないの! ただ本当に良かったなって…」
「スズラン…」
「……大丈夫、前にライアが教えてくれたもん。ちゃんと信じてるよ。わたしは捨て子なんかじゃ…、あれ? ……ごめんなさい。ち、違うの。……見ないでっ…」
そう言うとスズランは俯いてしまった。ひたむきに涙を隠す姿がいじらしくてそっと胸に抱き寄せる。ラインアーサは優しく頭を撫でる事しか出来なかった。