《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「そうか、なら好きな時に此処へ息抜きに来るといい……」
以前ラインアーサがそうだった様に、この場所が疲れを癒すならば。
「ありがとう! でもこの国の王様って本当にお祭り好きなんですね。半年後には収穫祭だってあるのに。賑やか過ぎると色々あるからちょっぴり心配になっちゃう……」
その言葉にはっとした。
父、ライオネルをはじめ。国民たちは賑やか事を好み、何かとお祭り騒ぎになる事が多い。その騒ぎに乗じて暗躍する者も居るのは確かだ。ラインアーサは常日頃からそれを心配しライオネルに意見してきた。それを、他国出身の若い女性に指摘されるとは。
「……この国の警備は決して怠ってはいない」
この一言を返すのがやっとだった。
「あの! そんなつもりじゃないです……変に意見してしまってごめんなさい……」
「いや……自分もそう感じていたから」
辺りはすっかりと夜の空気に変わっていた。心地良かった風も冷たくなり肌寒い。
「あ! もうそろそろ開店時間!! 急いで戻らないとまた怒らられちゃう。わたし、この森のすぐ表にある〝Fruto del amor 〟っていう酒場で働いてるの。警備さんも非番の時に来てくれると嬉しいな」
以前ラインアーサがそうだった様に、この場所が疲れを癒すならば。
「ありがとう! でもこの国の王様って本当にお祭り好きなんですね。半年後には収穫祭だってあるのに。賑やか過ぎると色々あるからちょっぴり心配になっちゃう……」
その言葉にはっとした。
父、ライオネルをはじめ。国民たちは賑やか事を好み、何かとお祭り騒ぎになる事が多い。その騒ぎに乗じて暗躍する者も居るのは確かだ。ラインアーサは常日頃からそれを心配しライオネルに意見してきた。それを、他国出身の若い女性に指摘されるとは。
「……この国の警備は決して怠ってはいない」
この一言を返すのがやっとだった。
「あの! そんなつもりじゃないです……変に意見してしまってごめんなさい……」
「いや……自分もそう感じていたから」
辺りはすっかりと夜の空気に変わっていた。心地良かった風も冷たくなり肌寒い。
「あ! もうそろそろ開店時間!! 急いで戻らないとまた怒らられちゃう。わたし、この森のすぐ表にある〝Fruto del amor 〟っていう酒場で働いてるの。警備さんも非番の時に来てくれると嬉しいな」