《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「その日出会ったばかりの俺にそう言ってくれたんだ。恥ずかしかったけど何だか嬉しくて、くすぐったくて…。その言葉のおかげで今の俺がいるって言っても良いくらい、俺の中では大切で大事な思い出…」
そう告げるとスズランの瞳が僅かに潤んだ。
「……ライアはその人の事、今でもずっと大切に想ってるんだね」
「もちろん。此処で出会った時から、そしてこれから先もずっと」
「そうなんだ…」
先程見せてくれた笑顔が曇ってしまう。もう殆ど答えを言っているに等しいのだが気付かないスズラン。あの日の出来事は夢ではないのに───。
「当時はその子もまだ幼くて舌っ足らずが可愛かったんだよ。俺の名前が言えなくてライアって言ったり、それどころか自分の名前すらちゃんと…、ん? どうしたスズラン」
ここまで言えば流石に気付いてくれるだろうかと思いきや……。
「っ…何でもないの、ただライアがすごく嬉しそうに話すから、ほんの少し焼きもち……ごめんなさい、大切な思い出なのに」
ほんの少しと言いながらも、眉を下げて今にも泣き出しそうな顔をしている。
「スズラン、そんな顔しないでくれ。俺そこ意地悪して悪かったよ」
「ううん。ただ本当にわたしの見る夢の場所とここがそっくりだから、ライアが夢の人ならいいのにって…」
そう告げるとスズランの瞳が僅かに潤んだ。
「……ライアはその人の事、今でもずっと大切に想ってるんだね」
「もちろん。此処で出会った時から、そしてこれから先もずっと」
「そうなんだ…」
先程見せてくれた笑顔が曇ってしまう。もう殆ど答えを言っているに等しいのだが気付かないスズラン。あの日の出来事は夢ではないのに───。
「当時はその子もまだ幼くて舌っ足らずが可愛かったんだよ。俺の名前が言えなくてライアって言ったり、それどころか自分の名前すらちゃんと…、ん? どうしたスズラン」
ここまで言えば流石に気付いてくれるだろうかと思いきや……。
「っ…何でもないの、ただライアがすごく嬉しそうに話すから、ほんの少し焼きもち……ごめんなさい、大切な思い出なのに」
ほんの少しと言いながらも、眉を下げて今にも泣き出しそうな顔をしている。
「スズラン、そんな顔しないでくれ。俺そこ意地悪して悪かったよ」
「ううん。ただ本当にわたしの見る夢の場所とここがそっくりだから、ライアが夢の人ならいいのにって…」