《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
最後の方は声が震えていて殆ど聞こえない。
「ああ、もう…! 何で…」
「きゃ…!」
ラインアーサは性急にスズランを抱きしめると観念して耳元で優しく囁いた。
「よく聞いて。〝その子〟はこの辺りでは見かけない薄い千草色の髪に抜けるような白い肌で、虹みたいに煌めく瞳を持った異国の女の子。笑顔がすごく可愛いくて、まだ幼い自分の事をスゥって呼んでた」
「え…? っ…!?」
「でもその子の本当の名は…」
「ま、まって……」
「もう十分待ったよ」
「うそ…。だって、あれはわたしの夢で…」
「嘘じゃあない。ずっと夢だと思ってた? あの日は俺の…、俺がスズランと出会った特別な日」
「…っ」
たった一日。僅かな短い時間ではあるがラインアーサの特別で淡い思い出。迷子の幼いスズランに励まされ元気を貰った。この思い出があったからこそいつでも前向きになれたのだ。
「ああ、やっと言えた! 例え夢でも俺の事覚えていてくれて嬉しかった」
「! …まって、ええっと、、ほんとうに? じゃ、じゃあ、ライアの初恋の相手って…」
「昔も今も、俺はずっと君に夢中みたいだな」
そう囁くとスズランは真っ赤になって俯いてしまった。
「ああ、もう…! 何で…」
「きゃ…!」
ラインアーサは性急にスズランを抱きしめると観念して耳元で優しく囁いた。
「よく聞いて。〝その子〟はこの辺りでは見かけない薄い千草色の髪に抜けるような白い肌で、虹みたいに煌めく瞳を持った異国の女の子。笑顔がすごく可愛いくて、まだ幼い自分の事をスゥって呼んでた」
「え…? っ…!?」
「でもその子の本当の名は…」
「ま、まって……」
「もう十分待ったよ」
「うそ…。だって、あれはわたしの夢で…」
「嘘じゃあない。ずっと夢だと思ってた? あの日は俺の…、俺がスズランと出会った特別な日」
「…っ」
たった一日。僅かな短い時間ではあるがラインアーサの特別で淡い思い出。迷子の幼いスズランに励まされ元気を貰った。この思い出があったからこそいつでも前向きになれたのだ。
「ああ、やっと言えた! 例え夢でも俺の事覚えていてくれて嬉しかった」
「! …まって、ええっと、、ほんとうに? じゃ、じゃあ、ライアの初恋の相手って…」
「昔も今も、俺はずっと君に夢中みたいだな」
そう囁くとスズランは真っ赤になって俯いてしまった。