《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……だって、びっくりしたら止まらなくって…」
「まあ、こんなくしゃみ一つでスズランが元気になるなら良いけどさ。でもこのままじゃ本当情けないから仕切り直しさせて」
「仕切り直し?」
ラインアーサは今度こそと、咳払いを一つするとそのまま片膝をつきスズランの前へと腕を差し出した。
「───シュサイラスア大国 第一王子、ラインアーサ・S・ローゼンは一族の名において如何なる時もスズラン・フルールを守ると誓います。……俺と一緒に来てくれますか?」
「…っ…はい」
腕の先に小さな温もりを感じる。それがふわりと乗せられたスズランの手だとわかると、緊張で指先が冷たくなっていた事に今更気づく。
「……王宮に、来てくれるのか?」
「わたし、ライアの迷惑にならない様に精いっぱいがんばる…! マスターとセィシェルにもちゃんと恩返しが出来るように今わたしが出来ることをやってみる。だから……ライアの傍に居ても、いい?」
「っ勿論! 狙われる原因を全て取り除いたらその時は俺と……いや。早く元の生活に戻れるように……スズラン?」
突然スズランの身体がぐらりと傾く。
咄嗟に抱き支えるも熱を失った冷たい肌がラインアーサを震撼させる。
「まあ、こんなくしゃみ一つでスズランが元気になるなら良いけどさ。でもこのままじゃ本当情けないから仕切り直しさせて」
「仕切り直し?」
ラインアーサは今度こそと、咳払いを一つするとそのまま片膝をつきスズランの前へと腕を差し出した。
「───シュサイラスア大国 第一王子、ラインアーサ・S・ローゼンは一族の名において如何なる時もスズラン・フルールを守ると誓います。……俺と一緒に来てくれますか?」
「…っ…はい」
腕の先に小さな温もりを感じる。それがふわりと乗せられたスズランの手だとわかると、緊張で指先が冷たくなっていた事に今更気づく。
「……王宮に、来てくれるのか?」
「わたし、ライアの迷惑にならない様に精いっぱいがんばる…! マスターとセィシェルにもちゃんと恩返しが出来るように今わたしが出来ることをやってみる。だから……ライアの傍に居ても、いい?」
「っ勿論! 狙われる原因を全て取り除いたらその時は俺と……いや。早く元の生活に戻れるように……スズラン?」
突然スズランの身体がぐらりと傾く。
咄嗟に抱き支えるも熱を失った冷たい肌がラインアーサを震撼させる。