《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
事の流れを大人しく傍観していたジュリアンだったが見かねて口を挟む。
「おいアーサ、少し落ち着けって! 一番戸惑ってるのはスズランちゃんだろ。今俺、ハリを呼んで来てやるからさ。こう言うのは早いとこ確認しといた方良いだろ! てかその辺りで見なかったか? お前達が遅いから様子を見てくるって言ってた筈なんだ」
ジュリアンのいつもと変わらない口調に助けられる。
「あ、ああ…。いや、ここに来る時には見かけなかった」
「そっか、んじゃその辺に居るだろ。連れてくるから待ってろ!」
「俺も行く…!」
「いーからお前はここでスズランちゃんと待ってろって! な?」
咄嗟に立ち上がっていた。一秒でも早く確認を取りたい。この何とも言えないやきもきとした気持ちを晴らすにはじっとしてられなかった。
しかしジュリアンはため息混じりに目配せをしてくる。視線を落とすとスズランが服の裾をしっかりと掴んでいた。
「……スズラン」
「行っちゃ、やだ…。お願い……ライア」
ラインアーサを見上げ懸命に首を振り、今にも消え入りそうな声で願うスズラン。服を掴む小さな手が小刻みに震えている事に気づき、自分が情けなくなる。どんな些細な苦しみも、不安な思いもさせたくないのに。スズランを守ると決めた筈なのに……。
「おいアーサ、少し落ち着けって! 一番戸惑ってるのはスズランちゃんだろ。今俺、ハリを呼んで来てやるからさ。こう言うのは早いとこ確認しといた方良いだろ! てかその辺りで見なかったか? お前達が遅いから様子を見てくるって言ってた筈なんだ」
ジュリアンのいつもと変わらない口調に助けられる。
「あ、ああ…。いや、ここに来る時には見かけなかった」
「そっか、んじゃその辺に居るだろ。連れてくるから待ってろ!」
「俺も行く…!」
「いーからお前はここでスズランちゃんと待ってろって! な?」
咄嗟に立ち上がっていた。一秒でも早く確認を取りたい。この何とも言えないやきもきとした気持ちを晴らすにはじっとしてられなかった。
しかしジュリアンはため息混じりに目配せをしてくる。視線を落とすとスズランが服の裾をしっかりと掴んでいた。
「……スズラン」
「行っちゃ、やだ…。お願い……ライア」
ラインアーサを見上げ懸命に首を振り、今にも消え入りそうな声で願うスズラン。服を掴む小さな手が小刻みに震えている事に気づき、自分が情けなくなる。どんな些細な苦しみも、不安な思いもさせたくないのに。スズランを守ると決めた筈なのに……。